「もったいない」という日本独自の言葉は、ケニア出身の環境保護活動家ワンガリ・マータイ氏が世界共通の合言葉として掲げて以来、世界の環境問題活動家の間で浸透しているコンセプトだ。それなのに、2017年の統計によると、日本では年間ひとりあたりの食品廃棄量が157キログラムもあり、世界ワースト5位にランクインしている(※1)

食品廃棄物には、食品の製造、調理、流通過程や消費段階で生じる「食べられる部分」と「食べられない部分」が含まれる。このなかで、食べられる部分を「フードロス(食品ロス)」と呼ぶが、2016年において日本では、国民ひとりあたり毎日お茶碗一杯分のフードロスが発生したという(※2)

8月8日に公開される映画『もったいないキッチン』は、もったいない精神の国、日本が「フードロス大国」でもあるという矛盾に疑問をもったフードアクティビストでジャーナリスト、そして映画監督でもあるオーストリア人、ダーヴィド・グロス氏が監督したドキュメンタリーだ。本作ではグロス監督が旅のパートナーのニキと一緒にリサイクル材で作ったキッチンカーで日本全国を巡る4週間の旅に出る。

左端がグロス監督で、右端がニキ/『もったいないキッチン』より

そこで彼らは様々な観点からサスティナブル社会に取り組む人々と出会い、地球や人間を幸せにする彼らの“レシピ”を紐解いていく。そんなグロス監督とのインタビューを元に、日本のフードロスの一因と言われるコンビニについて考えていきたい。

コロナ禍でも動じなかったコンビニの流通システム

2017年、前作『0円キッチン』が日本で劇場公開された際にグロス監督は来日した。この作品は食料廃棄をなくすため、廃油で走るキッチンカーでヨーロッパ5ヶ国を巡り、廃棄食材クッキングの旅に出るロードムービーである。

監督によると、このプロジェクトは、ゴミ箱に捨てられている食べ物を救うフードアクティビスト「ゴミ箱ダイバー」たちに、グロス監督がNYで出会ったことから始まったそうだ。彼らにインスパイアされた監督はゴミ箱に捨てられている食材を調理するTV番組をオーストリアで作り、この番組はヨーロッパ中から注目の的となった。

その後、『0円キッチン』を制作し来日した監督は、まず、日本のコンビニから出るフードロスに衝撃を受けた。

「仏教や神道の思想に繋がる『もったいない』は何百年もの間日本で受け継がれてきた精神です。世界でも最も美味しい料理を作り、食べ物を慈しむ日本人が同時に世界でも有数のフードロスを生み出している、という事実に驚きました。だから、この謎を解こうと『もったいないキッチン』を作ったんです」(グロス監督、以下同じ)