「海南自由港プラン」お披露目セレモニーの様子〔PHOTO〕Gettyimages

中国の「南シナ海進出」の足場…なのか? 「海南省プラン」のポテンシャル

新たな「特区計画」の中身

「海南自由港プラン」の中身

今年5月末に開かれた全国人民代表大会全体会議で明らかになった、「香港国家安全維持法」(国家安全法)の一方的な制定決定という衝撃的なニュースとともに、まるでそれとの引き換えのように6月1日に発表された「海南自由港建設総体プラン」(以下、「海南自由港プラン」)。

海南省の関税をゼロにしたり、海外投資を誘致することでこの地区の成長を目指すというこのプランについて、同日から中国国内メディアで絨毯爆撃的に報道が続き、「中国は海南省を香港の代わりにしようとしているのではないか」という声も上がりはじめた。

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すでに日本メディアも「すわ、海南」と浮き足だっているところもある。発表のタイミングからそう思ってしまうのもいたしかたないとは思う。しかし、中国側が発表した同プランの内容をきちんと読んでみると、「香港の代理」だとか、「香港に匹敵する」といった文言はない。

さらに、いかに国家安全法が香港の世界的な位置付けにダメージを与えることになろうとも、短期間のうちにそれに代わって海南省がめきめきと変身していくような可能性は同プランからは読み取れない

つまり、中国政府が国家安全法の施行で失うだろう香港の機能や位置付けの埋め合わせとして、海南省を扶持するというよりも、同省に新たな位置付けを与えたという方が近い。

プラン発表と同時に放送された、中央電視台の特集番組でも基本方針(「国際経験を参考に」「中国の特色を体現し」「海南の位置付けに見合った」「改革イノベーションを突出させ」「ボトムライン思想を維持する」)というお題目や同プランに使われた形容詞や名詞を、また発言者を変えて繰り返すだけだった。

「中国の特色」や「海南の位置付け」や「ボトムライン」とは一体なんぞや、についても説明がなく、また同プランが謳う「貿易」「投資の自由」「国際資金流動の自由」「人員の出入りの自由」「輸送往来の自由」の便宜も、これまで中国が各地に作ってきた自由貿易区や保税区でのお題目とそれほど変わらないもので、海南自由港プランの独自性といえば、そこに「海南省」という名称がついているだけだ。