長い年月をかけて北欧が築き上げてきた現在の姿や、そこに根を張り暮らしている人々の生の声。触れたことのない世界を届けることで、誰かの未来の選択肢、そして人生の可能性を広げる活動がしたいと、2020年から北欧(フィンランド・デンマーク)を拠点にフリーライター/PRとして活動する小林香織さん。

2014年に13年間のOL生活からライターへとキャリアチェンジ。デンマークでは国際的なフォルケホイスコーレで、現地の文化や英語を学んだ。

ダイレクトに現地の文化に触れる小林さんが、デンマークやフィンランドが取り組む「SDGs」の最前線を追う。

自然に触れSDGsを学ぶ。デンマークと三重県いなべ市の共創とは

2020年6月、北欧デンマークと三重県いなべ市がコラボレーションする壮大なプロジェクトがキックオフ。日本初となる北欧の世界観"Hygge(ヒュッゲ)"をテーマにしたアウトドアフィールドだ。デンマークで浸透するヒュッゲは、親しい人たちと過ごす心地よい時間を意味する。

いなべ市が誇る豊かな自然「宇賀渓」とデンマークの「ヒュッゲ」の世界観を融合させた、このグランピング施設は、2021年の春に完成予定だ。デンマークといえば、2019年の「SDGsランキング」で世界1位に選ばれたサステナビリティをリードする国。今回のプロジェクトにも、SDGsの視点が多く盛り込まれている。

SDGsというと「環境への配慮」や「ジェンダー平等」などが台頭しているイメージがあるが、このいなべ市のアウトドアフィールドは、私たちに何を教えてくれるのか。今回は、デンマーク・コペンハーゲン在住・環境設備エンジニアとして、このプロジェクトに携わる蒔田 智則(マキタ・トモノリ)さんに「SDGs」をキーワードに概要を聞いた。

デンマークは、なぜSDGs世界1位なのか

そもそも、なぜデンマークは「サスティナブルな国」として評価されているのだろうか。施設概要を語る前にデンマークの先進的に取り組みについても触れておきたい。

コペンハーゲン市内の様子(筆者撮影)

環境面で言うと、自転車移動、リサイクル、プラスチック削減、ヴィーガン食などは、かなり浸透していると言える。スーパーには割引レシートがもらえるリサイクルマシンが置かれており、ビニール袋は有料、カフェのストローは多くが紙製だ。自転車を電車内に持ち込んで移動することも可能なことから、多くの住民が自転車で通勤する。

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13 気候変動に具体的な対策を

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また、LGBTフレンドリーな国とも言われるデンマークは、1989年に世界で初めて登録パートナーシップ制度を導入したLGBT先進国。2012年には同性婚にまつわる法律が可決された。2019年8月にデンマークの研究機関が発表した数字によれば、デンマークで働くLGBT約1,400人のうち、69%が職場でLGBTをカミングアウトしており、78%が職場での幸福度が高いと回答している。

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10 人や国の不平等をなくそう

コペンハーゲンの洋上風力発電(筆者撮影)

再生可能エネルギー事業にも積極的で、2019年は国内発電量の50%以上を風力と太陽光の再生可能エネルギー発電が占めており、これは世界的に見ても飛び抜けて高い数値だと言えるだろう。2020年5月には、2つのエネルギー島の創設を含む合計6GWの洋上風力発電の建設をデンマーク議会が承認、2030年までに温室効果ガス排出量の70%削減するという目標と、今回のパンデミックによる経済ダメージからの復興を両立して実現する狙いだ。

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7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

法律の改正や国を上げた大規模な取り組みが、デンマークを「SDGs世界1位」に押し上げた要因だと言える。