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AIの「自然言語処理」技術がここへきて劇的な進化を遂げている

小論文や業務レポートを代筆する時代に

人間ならではの領域に踏み込むAI

AI(人工知能)が言葉の意味を理解する方向へと大きく舵を切った。

先日、シリコンバレーで限定的にリリースされた「GPT-3」という言語モデルを使うと、コンピュータ(AI)がかなり高度な文章を書いたり、私たち人間の言葉による命令に従って簡単なアプリ開発などの仕事ができるようになる。

GPT-3は現時点で米国のプレスや一部関係者らに限ってリリースされたが、実際にそれを使ってみた人たちからは驚くべき結果が報告されている。

たとえば、「この度、一身上の都合により退社することを決めました」あるいは「ベン、ごめんね、あたし貴方と別れなければならない」という冒頭の一文を入力するだけで、GPT-3はそれに続く文章をしたためて、普通なら書くのが気が重い退職願や別れの手紙を手際よく仕上げてくれるという。

これらの機能は、一般にAIの中でも「自然言語処理」と呼ばれる分野に属する。なかでも英語をはじめ様々な外国語をコンピュータが自動的に翻訳してくれる「機械翻訳」が、そうした自然言語処理における格好のベンチマークと見られてきた。

この点では、最近、ドイツのベンチャー企業が提供する機械翻訳アプリ「DeepL」が従来のものより相当質の高い訳文を出力することで話題になっている。ここからも、AIの自然言語処理が今、飛躍的進化を遂げつつあることが感じ取れる。

近年のAIブームでは、特に「画像認識」や「音声認識」の分野で格段の進歩が見られた。が、これらは言わばコンピュータのような機械がモノを見たり聞いたりする能力であって、犬や猫など人間以外の動物でもできることだ。

これに対し、言葉を理解し、操るための「言語能力」は私たち人類だけに備わっている高度な能力である分、AIで実現することが一際難しかった(一部の類人猿は訓練すればサイン言語等を操るとされるが、それは例外的で限られた言語能力であるので、ここでは一先ず置いておこう)。

このため「自然言語処理」では、AIの研究開発は実はそれほど目覚ましい成果を上げてきたわけではない。確かにアップルの「Siri」やアマゾンの「エコー(アレクサ)」などが商品化されているが、それらは一種の音声によるコマンド機能であって、AIが真に言葉の意味を理解して人間と流ちょうな会話を交わすという類のものではない。

 

このように、難しい自然言語処理の領域で今、GPT-3やDeepLのように画期的な技術革新が現れ始めたことは、AIの研究開発が次なるステージに移行しつつあることを示唆している。

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