「ウィズコロナ」「新しい日常」の大いなる欺瞞…戦争のときにそっくりだ

「日本人論的不安」を考える
船曳 建夫 プロフィール

今回のコロナの問題でも、感染の初期とそれ以降、日本は他国と比較すればよい状況で、「どうして日本は感染者が少ないの? 欧米と比べて」と「不安がる」人がいた。そこに、ある科学者が論理的なミッシングリンクを「ファクターX」と呼ぶものだから、ますます、「どうして日本だけ調子いいの?」とファクターX探しが行われ、果ては、「こんなによくやっている日本があまり海外で注目さえないのって、嫉妬?」と日本人論が盛り上がった。それはいまでも続いている。

しかし「ファクターX」を一つ特定できるわけはない。回り道をして説明する。

 

「日本人だからできた!」の罠

日本海軍の真珠湾奇襲攻撃は戦史上みごとな戦果である。しかし、1941年12月8日にそのニュースをラジオで聞いた人はみな一様に陰鬱であったようだ。中国あたりの戦闘ならまだいいけど、ついにどえらい戦いが始まった、と、勝ったのに暗かった。

しかし、毎日、大戦果が発表され、1942年の2月にシンガポールが陥落すると、日本人論のよくあるメカニズムをなぞるかのように、「どうして日本人なのによいのだろう」の答えが、「それは日本人だから!」と針が一気に逆に振れたような理由に求められる。「本当にジャパンがナンバーワンになるかも」とバブルに湧いた1980年代の後半も同じだった。

つい先月、6月くらいにはややその「やっぱり日本だから欧米なんかとは違うよ」の口ぶりが見られた。そのあたりから「Go To」キャンペーンなどの攻勢が始まったか

ではいま(2020年7月31日)のコロナは太平洋戦争であればどの時期に当たるか、といえば、ミッドウェー海戦くらいか、と思う。緒戦の勝利のあと、「この堅調は続くのか」「政府の言う医療の現場は持ちこたえているのか」、と不安が兆してきている。

ミッドウェー海戦の時は、実際には負けたのだが、「勝利した」と虚偽の報道がなされた。いまの政府の、「死者数は相変わらず少ない、重症者は急増していない」はミッドウェー海戦の虚偽とは違うが、それを額面通りに受け取ってよいのか。