「SNSの毒」から距離をとった結果…ある作家が陥った「矛盾と疑問」

一体、なんのためにあるんだろう?
高木 敦史 プロフィール

自分に似た他人の発見

これは自分の大学時代の話ですが、本の帯ってあるじゃないですか。面白そうな本の帯に「○○氏・激賞」というふうに知らない方の名前が書かれていた場合、まずその○○氏の著作を買って「あ、この人面白い」と知ることが多々ありました。

そうすると「この人は評価軸が自分と近いから大丈夫だな」と納得してから元の本を買ったり、時には元の本を買うことをすっかり忘れて○○氏にハマったりすることもありました。このことから鑑みるに「自分と評価軸の似た他人」の存在が、SNSでの生存において一筋の光明となります。

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先ほど自分はもう一つ匿名で映画SNSを使用していると書きました。基本的にあくまで自分のメモ用ですし、そもそも他人の評価は自分とは無関係なので、他人の感想を見ることは稀です。が、低評価のレビューが並ぶ中で高評価をつけているのが自分の他にもう一人しかいないような状況を目にすると、途端にその一人が気になって彼の過去のレビューを読みあさったりします。これはまさに「似た他人」であり、「本の帯」と本質的には同じです。

 

この「似た他人」を発見することは、昨今のSNSでは以前より容易になっていると感じるのです。

どういうことかというと、最近ではネットの世界もかなり細分化されてきました。全世界を一つに繋ぐはずのネット空間が、どんどんクラスタ化して各コミュニティが狭くなっている。同一コミュニティでは「例の件」とか「あの話」で通じるけれど、他の人が見るとさっぱり分からなくて話に混ざれない。語られる内容はどんどんコアになり、伝わる情報量もどんどん小さくなります。

これって飲み屋と同じですね。飲み屋でたまたま隣に座った見知らぬオッサンと話が合って盛り上がって仲良くなる、みたいなことがネットの世界では主流になっている。で、飲み屋って(特に都会では)街ごとに傾向があったりするものです。あの街は音楽好きが集まる。ここは映画好きが、こっちは本好きが……なんてふうに。

SNSも同様に、イラストが好きならpixivに行くし、小説を書きたければ小説家になろうに行くし、読書が好きなら読書メーターに行くし、音楽やるならサウンドクラウドに行くし、料理するならクックパッドに行く、という状況になっています。

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