原発賠償金で9億円を騙し取った「わるいやつら」の正体

謎の女将が暗躍
週刊現代 プロフィール

金を中心とした賠償金詐欺に、地元の社長たちは蟻地獄のように引きずり込まれていった。

その社長たちを誘う役割を担ったキーマンが、冒頭の温泉旅館の女将、黒田裕子(61歳)だ。

地元での黒田は、詐欺とは無縁な人物と見られていた。

「旦那さんは建設関係の仕事をしています。家庭に問題があるという話もない。優しく、穏やかな人ですよ」(周辺住民)

だが彼女には、近所の人々が知らない「普通のおばちゃん」とは全く違うもう一つの顔があった。地元企業の社長など、名士たちの間をつなぐ、凄腕の「やり手婆」のような「裏稼業」をしていたのだ。

「黒田さんは、東洋健康センターの先代社長の時代から33年間にわたって社長秘書を務めていました。先代社長は、10社以上が連なる『東洋グループ』のトップでもありました。

黒田さんはその社長に食い込み、亡くなる直前には、おむつを替えることまでして尽くしていたといいます」(地元企業経営者)

地元で有名な健康ランド「東洋健康センター」の「女番頭」、それが黒田だった。

「その後黒田さんは、知り合いの不動産会社の社長から、ヘッドハンティングされるような形で転職しました。この会社の社長からも重用され、ついには子会社の役員の地位を獲得したのです」(前出・経営者)

その末に、黒田は磐梯熱海の旅館「藤本」を買収し、「女将」へと転身を遂げた。

だが、現実は厳しかった。この旅館には思ったように客が入らず、経営を続ければ続けるほど借金が膨らんでいった。不動産会社時代に知り合った社長たちからカネを借り、なんとか経営を続ける有り様だった。