最後に明かされた、驚愕の事実

「次の予定があるので」というさくらの言葉を合図に、二人は名残惜しく店を出た。

駅までの道を歩きながら、直彦は珍しく興奮気味に語りかける。

「今日は本当にありがとう。すごい楽しかった。やっぱり人気者は違うっていうか、さくらさんがモテるのわかるよ」

留美との一件もあり「今度こそ失敗できない」と力んでいたから、さくらの陽気なキャラとコミュ力にずいぶん救われた。それに彼女の笑顔は夏の太陽みたいに明るく、パワーを分けてもらったようにいい気分なのだ。

「さくらさん、もし良かったらまた是非……」

「そうだナオさん」

しかし直彦が次の誘いを口にしかけたとき。さくらは急に立ち止まると、微笑を浮かべたまま驚愕のセリフを発したのだ。

「実は私、バツイチなの」

顔色も声のトーンもそのままに「私、乙女座なの」くらいのテンションで軽く告げられ、直彦はにわかに意味が理解できなかった。

――バツイチ……? 26歳の若さで……?

戸惑いながら彼女の様子を窺う。しかしさくらは普段通りの明るい表情をキープしていた。

動揺を抑えつつ、直彦は慎重に口を開く。

「バツイチって…そうなんだ。それはその、どういう理由で…?」

恐る恐る尋ねてみる。するとさくらは途端に顔を曇らせた。

「それが……前の夫、小さな会社を経営してたんだけど、結婚してすぐ事業が傾いて倒産することになって。私は当たり前に支えるつもりだった。でも彼に別れて欲しいと言われてしまって……」

彼女の話を聞き終えたとき、直彦の心に最初に浮かんだのは「そうだよな」という納得だった。

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さくら自身はこんなにも明るくて楽しくて、とにかくめちゃくちゃいい子なのだ。それなのに26歳という若さでバツイチになるなんて……離婚の原因は夫に間違いない。彼女が悪いはずがない。

「……私が頼りなかったのかな」

さくらは笑顔を消したまま、なおも悲しげに呟く。

初めて見る、彼女の暗く思いつめた顔……。直彦は居た堪れなくなった。

どうにかして天真爛漫な彼女の笑顔を取り戻したい。そんな気持ちになってくる。

「違う。さくらさんは何も悪くない……!」

気がつくと、直彦は衝動的にさくら抱き寄せていた。

NEXT:8月15日更新
直彦に激しい対抗心を燃やす留美。さらにアプリにのめり込むが、驚愕の事件が起きる...!
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