「さすが…!」花束ランキングトップに立つ女

「夏の陽気だしモヒートでも飲もうかなっ。あります?モヒート」

オーダーを取りにきた店員に、ニコニコと楽しそうに答えるさくら。

そんな彼女を目の前にして、直彦は「さすがアプリの女王だ」と感心せずにいられなかった。

花束ランキングトップに君臨するさくらとの初デートは「テラス席で昼から飲みたいな」という彼女の要望を受け、土曜のランチタイムに紀尾井町のルーフトップバーを予約した。

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「嬉しい。私、このお店来てみたかったの!」

店に現れた瞬間、初対面の気まずさなど一切なく、彼女はそう言って直彦に満面の笑みを向けてくれた。

「来てみたかった」というのが本当かどうかは知らないが、そんな風に言われて喜ばない男はいないだろう。

それに気持ちがいいのは、彼女のセリフも仕草も態とらしくなく、さっぱり自然体なのだ。

媚びではなく、心の底から楽しんでくれているのがわかる。さくらには『天真爛漫』という言葉がぴったりだ。

「ナオさんって商社マンっぽくないですよね。でも私、逆に好き」

褒められたのかは微妙だが、直彦の耳には後半の「逆に好き」という単語だけが何度もリフレインした。

「そうだ。ナオさん、心理テストしよう」

さくらはかなりお酒が飲めるらしく、モヒートの後にワインをグラス二杯あけている。素面からテンション高めの彼女だが、ほろ酔いで声まで大きくなりご機嫌な様子だ。

「好きなタイプを10個答えて欲しいの。あんまり深く考えないで、心に浮かんだことを自由に言ってね」

「ええ? なんだろう……考えたことがなかったから難しいな」

突然お題をふられ直彦は困り顔を見せるが、さくらは「難しく考えちゃダメ。ほーら、思いつくまま言ってみて」と一歩も引かない。

「早く、早く」と催促されるので、直彦は頭に浮かんだ条件をそのまま口にすることにした。

「顔がタイプ、太ってない、痩せすぎてない、それからうーん、清潔感がある、言葉遣いが綺麗、気遣いができる、浪費しない、よく笑う、自分の意見がある、居心地がいい。……これで10個になった?」

さくらは「ふーん、なるほど」と意味深に頷いたあとで「見た目を最初に挙げるのね」と小さく直彦を睨む。

「いや、別に外見は特に……」

慌てて否定する直彦を制し、さくらは「いいの、いいの」と笑った。

「この心理テストは後半が大事だから。本音は最初じゃなくて最後の方に表れるの。ナオさんの最後の3つは、よく笑う・自分の意見がある・居心地がいい、だっけ?」

上目遣いで問うさくら。直彦が頷くのを確認すると、彼女は白い歯をのぞかせキラッキラの笑顔を向けた。

「それって、私のこと?」

……この瞬間、直彦はさくらにハートを射抜かれた。