「いい人見つかった?」から始まるすれ違い

約束したテラスに到着すると、留美が手持ち無沙汰にスマホを弄っているのが見えた。

初回のデートではおろしていた髪を今夜はまとめていて、白く滑らかな首筋がのぞいている。

――やっぱり美人だよなぁ……。

無造作なまとめ髪に透け感のあるシャツ、大ぶりのピアス。洗練されたオーラを纏う留美の元へ、直彦はどこか誇らしい気持ちで駆け寄った。


「お待たせしてすみません……!」

挨拶を交わし、まずは初デートでの失言を繰り返し詫びる。

「気にしてない」という言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろすと、直彦はようやく正面からまっすぐ留美の顔を見た。

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初対面でも感じたが、彼女には以前から知っている相手のような安心感がある。不思議に思いながら留美をチラチラ眺めていると、何故だかふいに姉の顔が浮かんできた。

直彦より8つ年上の36歳で、結婚・出産を経た今もIT企業でバリバリ働く自慢の姉。美人だが少々強めの性格で、直彦への当たりもまあまあキツイ。

二人、気が合いそうだな……。そんなことを考え、直彦は留美に気付かれぬようこっそり笑った。

「で、アプリでいい人見つかった?」

直彦が会話の糸口を探っていると、急に留美から核心をつく質問が飛んできた。

「えっと……いや……」

とっさに狼狽えてしまったのは、直彦にとっては留美こそ「いい人」だからだ。今もそれを実感していたところである。

しかし何と答えるべきか迷っているうちに、彼女のほうが自身のアプリ事情を自慢げに語り始めた。