黒人はこうして排除されてきた…日本人が知らない「住宅差別」という問題

ゾーニングとレッドライニングとは何か
武井 寛 プロフィール

黒人を中心とした「好ましくない人物」を制限しようとする動きは、土地利用を規制する「ゾーニング」から派生して起こった。ゾーニングとは当時のアメリカの無秩序の都市計画を改め、土地利用の制度化や統治を目的として始まったものである。

ゾーニング法として全国的に最も早いものは、1916年に高層建築物を規制する目的で施行されたニューヨーク市建築形態規制のゾーニング法(New York City Zoning Resolution)である。

この土地利用の制度化・統治という観点から黒人を排除しようとする人種差別的なゾーニングが、メリーランド州ボルティモアやヴァージニア州リッチモンドといった地域で1910年代に法令化され、その後各都市に拡がった(*1)

 

しかし、1917年に人種差別的なゾーニングに対して重要な判決が連邦最高裁判所で下された。最高裁判所は1917年のケンタッキー州ルイズヴィルにおける「ブキャナン対ウォーリー(Buchanan v. Warley)」判決で、人種に基づく住宅の人種隔離は憲法修正14条に違反するとして、ゾーニングなどの人種隔離を容認する法令は憲法違反であるという判断を全員一致で下した。

ただし、住宅における法令を用いた人種隔離はこの判決後に直ちに無くなることはなく、言葉を変えて継続していた。その代表的なものが、制限的不動約款(Restrictive Covenants)と呼ばれるものである。

これは、入居者の人種的・民族的同質性の維持や不動産価値の保全を目的とした不動産業者と入居者の間で交わされる排他的な私的約款のことであり、19世紀末から行われていたが20世紀初頭に全国的に拡大した。この制限的不動産約款は、1948年の「シェリー対クレーマー(Shelley v. Kraemer)」判決で禁止されるまで続いていた。

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