1000人~2500人に1人の割合
誰にも起きうる「突然変異」

ターナー症候群は症状の個人差が大きい。そもそも流産になってしまうことがとても多く、心臓、腎臓に合併症が見つかることもあるし、いくつかのなりやすい病気がある。佐野さんは、それらのすべてを知った上で、覚悟をもって妊娠継続を決心した。幸い、果歩ちゃんは、そうした問題は見つからないまま今に至っている。

ターナー症候群と胎児診断を受けた妊婦さんがアドバイスを求めてきたらどう話されますか?――筆者がそう聞くと、佐野さんはしばらく考えてからこう言った。
「私は……他の妊婦さんには何も言えません。ご本人が決めることだと思います。ただ、正確な情報を得てから決めることは大切ではないでしょうか」

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鹿児島大学病院で出生前診断前後の相談に乗っている池田敏郎医師(鹿児島大学病院遺伝カウンセリング室副室長/産婦人科医・臨床遺伝専門医)によると、ターナー症候群がある女の子は1000人~2500人に1人の割合で、突然変異により生まれてくる。母親の年齢と発生率の関連性は、あまりないか、あってもわずかだ。
「かつては、思春期になってから『初潮がない』などの理由で分かることが多かったようです。でも今は、胎児期にわかるケースが増えつつあります」

実はターナー症候群は、羊水検査でわかるだけではなく、技術的には、血液検査だけの新型出生前診断でも調べられる。すでに海外では、新型出生前診断で、ダウン症(21トリソミー=21番染色体が、通常は2本のところ3本ある)、18トリソミー、13トリソミーと共に性染色体異常のひとつであるターナー症候群も調べられているのだ。

「日本では規定があり、新型出生前診断は、日本医学会の認定施設で3つのトリソミーだけを調べることになっています。しかし日本でも、法的には問題がないため未認可施設でも新型出生前診断をたくさんおこなっています。そうした施設は、海外同様にさまざまな病気を調べているところがほとんどです」

生後3日目の果歩ちゃん。流産などで生まれてこられない子が多いターナー症候群だが、果歩ちゃんは幸運なことに合併症もなかった 写真提供/佐野さん