妊娠12週で告げられた「異常」

ところが、新型出生前診断を受ける前、妊娠12週で出産予定施設の妊婦健診に行くと、超音波検査で、医師が「赤ちゃんの首の後ろのむくみが分厚いから、ご主人と一緒に話を聞きに来てほしい」と言い出した。それは「NT(後頚部浮腫)」と呼ばれるもので、赤ちゃんに病気がある可能性が高いというサインだった。そんな指標があるとは聞いたこともなく、超音波検査は単に赤ちゃんが大きくなっている様子を見るものと思っていた佐野さんは愕然とした。診察を終えてから必死に検索し調べてみると、それはダウン症と関係があることがわかってきた。

「頭が真っ白になりました。ずっと心配していた異常が見つかった、という思いでした。せっかく、妊娠反応、心拍の確認といくつも高いハードルをクリアしてきたのに……」

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医師は、佐野さん夫婦に、新型出生前診断ではなく、確定的検査である羊水検査を受けた方がよいとすすめてきた。佐野さん夫婦は羊水検査を予約し、羊水が十分に増える妊娠15週まで待った。

「やっと妊娠したというのに、私はずっと複雑な気持ちでした。つわりまで、長く、ひどくて。でも、出勤は毎日しなければなりません。そして職場ではまだだれにも妊娠の事を言っていなかったので、少しずつ大きくなってきたお腹を隠していました」

羊水検査は怖かったが、信頼していた医師が担当してくれたのが救いだった。
「終わりましたよ」と医師が見せてくれた羊水はわずかに濁った液体だった。