コロナ危機、NY「死者激減」のウラに「新しい仕事」の存在があった…!

「トレーサー」という仕事をご存知ですか?
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「過去の人扱い」という最大の職場リスク

ヨーゼフ・シューペーターが提唱した「創造的破壊」は企業内で新しいイノベーションが起こることで、古い慣習や、旧態依然とした制度等がなくなり、その新陳代謝によって、企業が成長し続けることができる……という、経済発展の必要不可欠なプロセスを示す経済用語である。

コロナは残念ながらイノベーションではないが、全世界規模で、この「創造的破壊」を推し進めたといってよい。

ニューノーマルの生活習慣は、働き方・生活・余暇などに大きな変化をもたらし、その変化に伴い、必ず新しい仕事が生まれる。オンライン会議などが当たり前になる環境では、出張の意味なども変わってくるだろう。

固定観念にとらわれたままでは、仕事の場で、取り残され、「過去の人」扱いされかねない。

こうした環境変化にどのように適応すればよいのだろうか? 実は答えは意外と簡単かもしれない。

 

「足を失って選択肢を失った。だから今がある」

ヒューマノイドロボット技術を応用したロボティック義足を開発し、2015年よりベンチャー企業BIONIC Mを率いる孫小軍氏はこう語る。

「わたしは、小学生のときに骨肉腫にかかり、片足を失いました。農業をすることができないのだから勉強をするしかないといわれ、必死に勉強し、大学に行くことができた。留学先の日本で義足と出会い、その技術に感動するとともに、すぐれた義足を作ろうと博士課程に戻ったが、世界的義足メーカーのインターンに落ちてしまった。落ちたことで選択肢がひとつしか残らなかったので、自分で会社を作ったのです。選択肢がなくなったから、やるべきことをはっきりさせることができた」

孫氏の率いるBIONIC Mは、ベンチャーを投資する企業集団や投資家集団からも注目を集める東大発ベンチャーだ。2020年7月には第10回Japan-U.S. Innovation Awards において「日本イノベーション・ショーケース・スタートアップ」の受賞企業になるなど、イノベーションにおける受賞歴も多い。

こうした注目も、実は「義足」=足がない人向けのミクロな市場という固定概念から孫氏が脱却し、「足がなくなった人を助けるだけでなく、年をとって足を動かすのが困難になってしまったひとにも、ロボット技術で「移動する」というモビリティを提供したい」と、義足のもつ「歩行を手助けする」という本来の役割に注目し、市場のもつ可能性に対して、視野を広げたことが大きい。

ロボティクスを義足に応用し、さらに高齢者も潜在ユーザー層に加えたことで、「新しい企業分野」を生み出したのだ。

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