地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1958年のこの日、桑原武夫(くわばら・たけお、1904-1988)隊長の率いる京都大学学士山岳会遠征隊がカラコルム山脈中央に聳える高峰チョゴリザ(7654m)に初登頂しました。
チョゴリザは世界で2番目に高い山であるK2の南側に位置しており、北側のバルトロ氷河と南側のコンダス氷河という2つの氷河に挟まれた美しい山です。
その美しさは山岳文学のパイオニアであるウィリアム・マーティンによって「ブライド・ピーク(花嫁の峰)」と称されるほどでした。
この山に初めて挑戦したのはイタリアの王族であったアブルッツィ公で、7500mに到達するもそこで断念しました。
また、桑原の登頂の前年に当たる1957年にはオーストリアの登山家ヘルマン・ブールが滑落死しています。
そんな中、この山に初めて登頂成功したのがフランス文学者の桑原武夫率いる京都大学の登山隊です。
桑原の隊は当初ヘルマン・ブールと同じ地点(6700m)にテントを構え、手前にあるアイスドーム(7150m)という山を越えてチョゴリザの頂へ至るルートを選択していました。しかし、1度目のアタックには失敗。若干テントの高さをあげた2回目も同様に失敗しました。
その後の3回目の挑戦ではルートを変え、アブルッツィ公と同じルートを取ったことが功を奏し、見事初登頂を達成しました。
余談ですが、隊の一員であった平井一正は登頂成功の原因として「甲賀流白虎兵糧丸」という携行食料について述べています。これは蜂蜜、きな粉、抹茶などを固めたもので、忍者研究で知られる平安高校の教師から受け渡されたそうです。