中国漁船「インドネシア人船員遺体海中投棄」にブチ切れた政府の矛盾

ワクチン開発は中国頼みの風見鶏外交
大塚 智彦 プロフィール

錯綜する情報の集約を目指す

インドネシアは国土が南北1888キロ、東西実に5110キロに広がる、海に囲まれた約1万3500の島からなるいわゆる群島国家である。東西海路の要衝マラッカ海峡、南北に抜けるロンボク海峡などを抱え、インド洋、太平洋、南シナ海に面しているため、海洋交通・貿易上も領海警備上も広大な海域に目を光らせる必要に迫られている。

ところが実際には海軍、沿岸警備隊などの治安組織のほか、海洋水産省の漁業監視機関、事故・遭難・災害などであれば国家捜索救助庁、国家災害対策庁などの海上部門が入り乱れることになり、通信系統、情報共有などの面で混乱が生じ、必ずしも迅速で効果的な対応がとれてきたわけではなかった。

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こうした反省点から、より効率的で各省庁横断的な組織が必要となり、沿岸警備隊の中に新たな機関としてIMICを創設して本格的な運用に乗り出したのだ。

7月22日に発足したIMICは、約半年前に海軍内に創設された「海軍情報センター」と「海の国防と安全確保」という形で役割分担をしながら、主にインドネシア周辺の海域で密輸入、違法な漁業操業、海賊や強奪などの犯罪行為、人身売買事案などに関する情報を集中的に取り扱い、それを関係機関にオンラインなどを通じて迅速に伝える役割を果たすことになるとしている。

インドネシア領海内では2020年1月から6月までに海賊行為や類似の強奪事件が13件発生しており、これは昨年同期の約2倍になるという。インドネシア領海外の東南アジア海域での同様事案も倍加する傾向をみせているという。

 

こうしたことからシンガポールやマレーシア、フィリピンなどの海上法令執行機関、沿岸警備組織などとの海外ネットワークもIMICを通じて一元化して、領海を超える事案や国際海域(公海上)での犯罪、事故などへの対応も国の壁を超えて効率的に行うことを目指すとしている。