初の赤字転落…!JR東日本の決算が物語る「コロナショックの衝撃」

運賃やダイヤなどが変わる可能性も?
佐藤 信之 プロフィール

なお、令和元年度決算での新型コロナウイルスのグループ全体での影響額は、運輸事業約710億円、流通・サービス事業約140億円、不動産・ホテル事業約90億円と説明する。

単体の鉄道事業では、新幹線が305億円、在来線関東圏が310億円、その他在来線20億円である。旅客の減少が大きかった新幹線とともに、首都圏の通勤路線でも大幅な減収となっている。

令和2年度に入ると、4月には定期収入が前年度に対して24.0%とほぼ4分の1に減少した。まさに緊急事態措置による自粛要請が出された時期にあたっている。

内訳は、定期外旅客の中長距離が97.9%減、近距離が74.5%減である。定期旅客への影響は僅かばかり軽微で、49.5%の減少である。それでもほぼ半減という惨憺たる状況であった。

5月は、全体で71.0%減、中長距離の定期外旅客収入が94.5%減、近距離の定期外旅客が72.3%減、定期旅客収入は28.1%減である。

6月は、全体で46.7%減、中長距離の定期外旅客収入が73.6%減、近距離の定期外旅客が44.2%減、ただ定期旅客収入だけは3.4%の増収となった。次第に減少幅が縮小していったが、6月下旬からの再びの感染拡大により、長距離を中心に定期外旅客の減収が危惧されるところである。

 

現に、JR東日本は、7月22日に始まったGo To Travelによる増収効果はわずかであるとしている。定期旅客収入の増加は、本来4月に新入学、新人社員による定期券購入が増えるところが、2ヵ月ずれ込んだということであろう。

すぐには「大幅コストダウン」ができない

JR東日本は決算説明会で、設備投資について「新技術の導入や警備費用等のコストの見直し」を行いたいとするが、続けて「大幅なコストダウンを直ちに実現することは難しい」との見解を表明している。

新技術としては、新型通勤電車E235系による運転の自動化によるワンマン運転がすでに発表されている。

最初は、すでに車両の導入が終わっている山手線で計画されているが、自動運転化しても運転台には係員が乗車するのでワンマン運転であり、無人化するわけではない。

つくばエクスプレスでは、自動運転を基本とし、運転士による操作も併用するワンマン運転を実施しているが、非常時には運転士の操作が必要となるため、国家資格の動力車操縦者免許を所持する必要がある。

免許を持たない保安要員を運転席に座らせるには制度の変更が必要であるので、実現するにはまだしばらくの年月が必要である。

山手線に続いて、つい最近、京浜東北線についても車両を取り換えで自動運転を実施する情報が流れてきた。噂ではあるが、京浜東北線に直通する横浜線も候補に入っているらしい。

これらで実施すると、あわせて千人近くの要員の削減が可能となるだろう。しかし、いずれにしても効果が表れるのは数年先である。