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# 新型コロナウイルス

薬か毒か?「ベーシックインカム」待望論が抱える“残酷”なリスク

導入すれば「犠牲」になる人も

コロナ禍で再び注目を集めるが…

国際連合の国連開発計画(UNDP)が7月23日、臨時ベーシックインカム(BI)を導入すれば、新型コロナウイルス感染者の急増を抑えられる可能性があるとの報告書を発表したことで、ネットを中心にBIに関する議論が白熱した。

だが、BIについての基本的な知識が同一ではないため、チグハグな議論がなされている。

国連開発計画が発表した報告書「臨時ベーシックインカム:開発途上国の貧困・弱者層を守るために」(TemporaryBasic Income: Protecting Poor and Vulnerable People in Developing Countries)によれば、1ヵ月当たり1990億ドルあれば、132の開発途上国で貧困ライン以下か、そのわずか上で生活する27億人に一時的にベーシックインカムを保証できると試算している。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁(Photo by GettyImages)
 

これは、例えば6ヵ月間、臨時ベーシックインカムを配布するのに必要となるのは、2020年中に予測される新型コロナウイルス対策費のわずか12%で、開発途上国が2020年に支払うことになっている対外債務の3分の1に過ぎないとの試算による。

その上で、アヒム・シュタイナーUNDP総裁は臨時ベーシックインカムの財源について、「正式なデータによると、開発途上国と新興経済国は今年、債務返済に3兆1000億ドルを費やすことになっている。すべての開発途上国を対象に包括的な債務返済凍結を認めれば、今年の債務返済に充てられる予定だった資金の使途を変更し、臨時ベーシックインカムに充てることができる」と見通し、これにより、「新型コロナウイルスの破壊的な蔓延のペースを落とせるかもしれません」と述べた。