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TikTokまで標的!激化する米中覇権戦争、ソフトバンクも渦中に?

それでも止まらぬ中国投資
米国事業の売却か、それとも撤退か? 短編動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」を巡る状況が刻々と変化している。マイクロソフトのサティア・ナディラCEOがトランプ大統領と協議した結果、9月15日までにティックトック買収の取引を進めることが明らかになった。当初、米国事業の禁止にこだわっていた大統領の翻意の理由とは?
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、人気アプリまでだしにした米中対立の行方を考察する。

ティックトック(TikTok)―マイクロソフトが買収の方向で交渉

月が魔法にかかったらしい。

と言っても、短編ビデオソーシャルアプリ「ティックトック(TikTok, 抖音)」での出来事だ。世界のティーンが夢中になるティックトックには、ハッシュタグ(#)ごとに豊富なサブカルチャーが存在する。その一つにウィッチトック(#wichtok)という「魔女」や呪術のコミュニティーがあって、最近、新米の魔女(#babywich)らが月に呪いをかけたらしい。ベテラン魔女達からは、自然界に手を出すな、と叱られた。

おばさん筆者には何のことだかさっぱり分からないし、月も健在だ。むしろ存続が危ぶまれたのは、ウィッチトックの魔女の方だ。トランプ米大統領が7月31日、国家安全保障を理由に、中国企業バイトダンス(北京字節跳動科技)が運用するティックトックを禁止する可能性に言及したからだ。

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ティックトックのアクティブユーザーは世界8億人、今年の上期にはダウンロード数で世界のアプリの記録を塗り替えた。欧米で中国産ソーシャルメディアが市場を席巻した初めてのケースだ。

しかしティックトックやウィーチャット(微信)などの中国アプリについては、セキュリティーの問題が専門家から指摘されてきた。例えば、ユーザーがキーボード入力すると、アプリが許可なしにクリップボードの内容を読み取ることなどが明らかにされている。

一足先に禁止に踏み切ったのは、中国との国境紛争を抱えるインドだ。

中国政府による情報収集を警戒したインド政府は、ティックトックを含む59の中国製アプリを6月に禁止した。これによって、2億人とも言われたインドのティックトックユーザーが一瞬にして消えてしまった。その中には15秒の動画アップロードに身を削りボリウッドを目指していたアプリ有名人や、「チキンレッグをひたすらうまそうに食べるおじさん」も含まれる。