日本政府は国民を守らない…「原爆は怖くない」ウソだらけの安全神話

コロナ対策でも同じことが起きている
大前 治 プロフィール

「白い下着」と「湿布」で大丈夫

さらに8月11日に、防空総本部は一歩進んだ内容の「新型爆弾への心得」を発表した。

*8月11日付「新型爆弾への心得」より
・破壊された建物から火を発することがあるから初期防火せよ
・火傷を防ぐためには、白い下着類が有効である
・この爆弾の火傷には、油類を塗るか、塩水で湿布すればよい

おそるべき安全神話である。爆心地付近の地表面は3,000~4,000℃になり、全身が焼かれて赤黒く変色したり、焼けただれた皮膚が垂れ下がるなどの惨状を政府関係者も知ったはずである。白い下着や湿布があれば大丈夫というはずがない。

しかも、この「心得」は、それまでの談話には明記されなかった「初期消火」という言葉が出てくる。1941年改正の防空法で国民の義務とされた消火活動を、原子爆弾に対しても果敢に実施せよというものである。

 

原爆の被害を軽んじる新聞記事

こうした政府方針を受けて、報道各社の論調も変化した。投下の2~3日後には「鬼畜米英の暴虐」として原爆投下を批判する記事も多かったが、徐々に「恐れるに足りぬ」として原爆を軽んじる記事が目立つようになった。

新聞記事「案外小さい爆発音/熱線にも初期消火」

読売報知1945年8月14日付の「案外小さい爆発音」という見出しの記事は、長崎県庁前で被爆した記者の詳しい体験報告である。原爆投下の瞬間について、次のように述べている。

・青白い光がピカリと光った。中くらいの稲妻くらいで、強いと思わなかった。
・「あっ新型だ」とピンと来たので、私は持参していた書籍を頭上に置いて身を守った。
・2~3秒後に「ドン」と来た。東京で聞いた爆弾の音よりも小さい音だった。
・地震のように大地が割れたと言う人がいたが、あれは嘘である。

いかにも呑気な印象を受ける。当時の長崎県庁(長崎市江戸町)は爆心地から2.5km離れているが、この付近でも爆風で鉄製の扉が湾曲し、火傷を負う人も多くいた。長崎県庁は全焼している。

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