新型コロナにデジタル化…変化の時代を、チャンスに変える能力とは?

「問題解決」よりも「問題発見」が重要
細谷 功 プロフィール

不確実性が高い時代に、求められる能力とは

このようなデジタル化を始めとする急激な変化による不確実性の増加は「VUCAの時代」(VUCA=Volatility変動性、Uncertainty不確実性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性)という言葉に代表される「先の読めない時代」への問題提起をしました。

このVUCAの時代の集大成とも言えるのが、今回の新型コロナウィルスの世界への直撃だったわけです。

 

これによって私たちはまさに「一寸先は闇」であることを身をもって体感しました。確かにこのCOVID-19の騒動は、いずれ時間とともに収束するかもしれませんが、ウィルスはまた新たに姿を変えて私たちを襲ってくるであろうこともまた容易に予想されます。

ところが本当に私たちが予期すべき「次の波」は、またしても「予想もしていなかった不測の事態」であり、そのようなことがいつ起きても対応できる心の準備をしておく必要があるということが今回の騒動から学べる教訓になります。

次の波は「コンピュータウィルスによるデジタル世界の混乱」かも知れないし、「サイバー戦争による秩序の崩壊」かも知れません。本当に予期すべき不確実性は「予期していないことが起きうる」ことだけです。

コロナウィルスの世界的流行で世界経済は大打撃を受けた(photo by iStock)

このような時代の心の準備とは何か?

それに対する解のひとつが本書のテーマである「問題発見力」です。

安定している時代にはある程度問題はわかっているので、それを解決する能力が重要ですが、不確実性が上がれば上がるほど、「そもそも何が問題なのか?」を考える能力が重要になってきます。

ところが従来の教育や価値観では「すでにある問題の解決」が重視され、問題解決型の職業が尊ばれてきているために、日本の社会には、問題を発見することが解決することに比べると不得意な人が圧倒的に多いのです。

不確実性が高い時代には「与えられた問題を上手に解く」のではなく、問題が与えられたら「そもそもこれは解くべき問題なのか?」と疑ってかかり、「解くべき問題はこちらである」と逆提案する能力が重要です。

本書はそのためのヒントを提供することを達成目標とします。

絶好のチャンス

問題を発見するために最も重要なこと、まずは自分には見えていないものの方が多いのだという「無知の知」の自覚です。それによって与えられた問題を安易に信じないことで思考回路を起動します。

本書では問題とは身の回りの事象や私たちの頭の中に生じている何等かの「歪み」であり「ギャップ」であり、それを「変数で記述すること」であるという定義とします。

たとえば問題とは、変化している現実と昔から変わっていないルール(「ハンコ」が最もわかりやすい例と言えるでしょう)との間に生じた歪みであり、そこに生じる「歪んだ現実」と「あるべき理想像」とのギャップです。

これを解決するために「法律や規制」「会社のルール」に加えて具体的には世の中に広まっている「紙の書式」や人々の頭の中にある「ハンコがなければ公式文書として認められないという誤解」を切り替えていくといった具体的に変えるべきものが「変数」ということになります。

関連記事