ジャーナリスト島沢優子さんによる連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」。コロナの影響で多くの学校が「夏休みの短縮」を選んだ。しかし5%の自治体は、「通常どおりの夏休み」を決行している。どんな理由で決めたのか。コロナ休校による学びの遅れはどうやって取り戻すのか。

「5%」の学校で勤務する教師に話を聞き、改めて「夏休み」の意味を考える。

「夏休み」の意味

7月も終わりに近づいたが、子どもの声がしない。
私の住む地域は8月3日が終業式。翌4日から25日まで夏休みは3週間だという。
「まだ長いほうでラッキーなんですよ。2週間の小学校もあるんですって」と近所の小学生ママが教えてくれた。
夏休み3週間で「まだラッキーなほう」なの? と暗澹たる気持ちになる。

報道によると、新型コロナウイルスで公立小中高校などを休校とした全国の1794の自治体の教育委員会のうち、1710が夏休みの短縮をするという。これは全体の95%にものぼる。ということは、日本でわずか5%子どもしか、通常の夏休みを過ごせないことになる。

95%の自治体は、コロナでの遅れを取り戻すことを第一に考えているのだろうが、子育てしてきた経験から言えば「夏休み」は子どもが一気に伸びる時間だと思う。
わが子以外でそのことを実感したのが、10年ほど前に教育雑誌で「東大生の夏休み」という企画を取材執筆したときだ。東大生たちが、小学生時代の夏休みを振り返り、自身の成長にもたらしたものを伝えてくれた。

取材ノートを引っ張り出してみると、理学部3年の男子学生は「夏休みは遊びほうけていた」と話している。

勉強した記憶は正直ない。
宿題や課題は毎年休みの後半ギリギリにやっていた。
じゃあ何をやっていたかといえば、友達と海に泳ぎに行ったり、虫取りに行ったり、夜は星を見ていた。地方で育ったけれど、周囲には都会の子と同じように家でファミコンをしている子も多かった。でも、自分は毎日真っ黒になって外で遊んでいた。
外に行かないのはそろばん教室の時間くらい。

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低学年のころは、母がノートに計算問題を書いて自作の算数テストを作ってくれたけれど、ほとんどやらなかった。遊ぶのに忙しかった。でも、やらなくても、母は無理強いはしなかった。長い目でみてくれていたのだと思う。

いかがだろう。そして、この東大理学部男子が夏休みにただひとつ続けていたのが、日記だという。小学1年生から日記が宿題だったが、それを夏休みも「自分の意思で書いていた」と答えている。
日記は、夏休みの宿題でも何でもなかった。でも、2学期に「先生にみてもらうのが楽しみだった」と答えている。

そして、彼はこう結んでいる。
「学校の勉強はしない夏休みだったけど、五感を鍛えて、からだを鍛えた。学力の源になる貴重な時間だった」と。

外出しなくても、自分の興味あるものに思う存分かける時間の自由が貴重なのだ。写真は島沢さんの長男が小学校3年生で厚焼き玉子を極めたときの写真 写真提供/島沢優子