苦しい時は電話して(photo by iStock)

自殺したくなるのは、発熱するのと同じ「体からのメッセージ」です

反省を禁止することから始めましょう

新型コロナウイルスが世界を席巻し、経済活動が元のように戻るには長い時間を要するでしょう。その間、たとえば経営に行き詰まった中小企業の関係者や飲食業に携わる人たちなど、ごく普通の方々が、思い悩み、人生に絶望し、自らの命を絶ってしまう恐れがあります。

でも命を絶つ前にちょっと待ってほしい。自殺者をゼロにしたいと10年も前から自らの電話番号を公開し、死にたい人であれば誰でも相談に乗ってきた作家・坂口恭平さんの声に耳を傾けてみませんか?

「死にたくなったらどうすればよいのか?」を優しく綴った新刊『苦しい時は電話して』(8月19日発売)から、坂口さんが考える対処法をお届けします。

関連記事:自殺志願者を救う「いのっちの電話」の生音声動画を公開します

体の動きを止めたい

死にたいと感じている時、辛くてどうしようもない時、それは自分の問題だと思っていませんか? 自分が悪い、自分のせいで、こうなった……と。

しかし、ちょっと待ってください。実は全く違います。

ただ熱が出ている時と同じです。

 

熱が出たくらいじゃ止まってくれない、咳が出たくらいじゃ止まってくれない。そんな状態なんです。つまり、体の目的としては、休ませたい、体の動きを止めたい。

ちょっとやそっと痛みを与えたくらいでは、あなたは休んでくれないので、体として最大限の方策を取っている。

体は自分に対して無駄なことはしません。

何かしら意味がある。

僕たちの常識のようなものが体と合わないだけで、体は体なりに合理的に動いています。休ませるために、興味・関心を感じる感覚を麻痺させている。体が動く機能を低下させている。希望を感じるところが鈍くなっている。

そんなわけで欲望も感じません。人間は何があっても、心のどこかには前向きな精神があるものですが、それすら取っ払われます。すべて後ろ向きに考えるようになっている。

だから行動することができない。人に会いたくない。話すこともできない。

本当に少しも余白がなく、とにかく否定的です。

まずは「ただ読むだけでいい」

そのおかげで、寝込むことになる。

自分の体がそうさせているわけですから、これもある意味では自然治癒力のようなものかもしれません。

そんなこと言っても、「はい、そうですか」と納得することはできないと思いますが。

僕もそうです。

今は、ある程度落ち着いている状態でこれを書いているので、「そうなんだよ、体が休みたがっているんだから、素直に従って横になっていようよ」と思いますが、苦しい時は、時間の流れも停滞して、苦しさが何倍にも膨れ上がりますから、こんなふうには考えられないと思います。

でもそれでいいんです。

自分ではそんなふうには思えない。

これも大事なことです。今は何も考えられなくなっているのですから。

だからただ読むだけでいいと思います。

これは僕の場合ですが、他のことは何にも頭に入らないのに、自分のこの死にたいと思う状態をどうにかするための特効薬のような文章がどこかにないものか、本やインターネットの文章をとにかく探すことに関しては、少しもサボりません。

どんどん読むんです。むしろ貪欲です。とにかく治したいと思うばっかりに、何でも片っ端から読もうとしてしまいます。