「読ませるレシピ」続々…!

料理家たちからよく聞く悩みに、「レシピの文字数をできるだけ短く、と要求される」というものがある。調理過程が長い印象を与えると、「めんどくさい」と読者から敬遠されるからというのが、その要因だ。レシピの世界に時短料理の嵐が吹き荒れたこの数年は、工程自体を単純化する工夫を求められた料理家も多かったことだろう。

本当は、そこからこぼれ落ちる言葉も大切なのではないか。エッセイのように読ませるレシピが出たらいいのに、と思っていたところ、そういう本が登場し始めたのである。

その流れを作ったのは、2017年に発売された有元葉子さんの『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』(SBクリエイティブ)。その後、『ごはんのきほん』(2018年)、『ふだんの洋食』(2019年)とシリーズ化するのだが、完成料理の写真が入っていて、分量こそほとんど明記していないが、コツを含めたプロセスの詳細な解説になっている。

昭和の頃から、料理家がコツのエッセイ集を出すことはあった。それらは調理の基本的なコツや台所を賄う心構えを記した、「台所入門」的な要素が強かった。しかし、同書はより実践的なコツの本とも、新しいスタイルのレシピ本とも言える。

例えばゴボウのきんぴらは、次のような説明がある。皮はむかず、たわしでこそげ取るだけにする。おいしい皮を生かすため、1本1本に皮が含まれるよう斜め薄切りにしてからせん切りする。鍋底に広げて、ときどきかき混ぜる。細かく丁寧に解説することで、書かれている技術を一通りマスターすれば「レシピを見ないで作れる」ようになる、というのがおそらく著者の狙いだ。