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コロナショックで「中国の非正規労働者」が直面している深刻な現実

1年以上「賃金欠配」というケースも…

中国の雇用・労働問題・労使関係の変化

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されるとともに、日本では雇用に対する影響が全国的に深刻化し、2020年3〜5月に中心的に取り組まれていた休業補償をめぐる問題から、最近では、解雇、雇い止め、そして派遣切りといった、非正規労働者のより深刻な労働案件が増加傾向にある。

これと同じように、中華全国総工会(中国官製労働組合のナショナルセンター)を中心に、これまで感染拡大予防という「人民戦争」へ広範な労働者が動員されてきた中国でも、とくに広東省を中心に展開してきた底辺労働者による「下から」の労働運動・労使紛争は、いったんは中断を余儀なくされていった。

だが、生産・操業の再開にともない、仕事に戻らないと食べていけない農民工をはじめとする非正規労働者の多くが職場に復帰したことで、労使関係は再度、対立的構図を深めつつある。ここでは中国のコロナ禍における、最近の雇用・労働問題、労使関係の変化について概観する。

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中華全国総工会はどう対応したか

感染症拡大予防に関する習近平による一連の講話をうけて、中華全国総工会は2020年4月、感染症拡大予防の活動に最重要かつ喫緊の課題として取り組みつつ、感染症対策部署を設置し、各行政レベルの工会(労働組合)による集団的行動・組織化のもと、全国レベルでの闘争陣営を形成していった。

とりわけ武漢のある湖北省の各レベルの工会は、各官庁を横断した感染予防措置を実現し、多くの工会幹部も最前線に身を投じて、大衆的予防活動という「人民の防衛ライン」の構築に乗り出していくこととなる。

その際、中華全国総工会は、感染症拡大予防を「人民戦争、総力戦、迎撃戦」に見立てつつ、各分野の広範な労働者を動員している。それは例えば、多くの医療スタッフが感染症拡大予防の第一線に身を投じ、患者を救うといった社会的活動への支援のことを指している。

ここでは、応急医薬品生産への人員の動員、医療機器、防護用品製造企業の労働者を最初に生産現場に復帰させ、防疫物資の供給を全力で支え、重点防疫プロジェクトの設計・運営に携わる労働者による昼夜問わずの業務の遂行を組織していった。

また、交通運輸、電力供給、市場供給などの業務に携わる労働者を支援しつつ、強力なバックアップ体制を労働者主導で全国的に構築した。

さらに、多数のハイテク従事者の動員によって科学研究の分野でさまざまな課題を克服するとともに、科学技術の面での強力な支援体制を築き、広範な労働者とともに社会の各層にさらなる支援を呼びかけていった。