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「45歳、経験ゼロ」から音楽プロデューサーに…異能の「経営者」の挑戦

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ニューヨーカーもハマった「ただごとではない」音楽

「これは普通の音楽じゃない。ただごとじゃない」

2018年11月、ニューヨークの大学「シティテック(ニューヨーク・シティ・カレッジ・オブ・テクノロジー)」の講義での出来事だ。日本からやってきた4人の若者が弦楽四重奏を始めると、学生たちは目を丸くした。

クラシックのようでいて、ジャズやロックも融合させたような独創的な音楽は、とにかくクールだった。いろいろなリズムが入り乱れる変拍子の異質なリズムは、不思議と耳から離れずクセになる(後ほど詳述)。

それに、若い男性ばかりの弦楽四重奏も新鮮だった。バイオリンやヴィオラ、チェロなどを使った弦楽四重奏は、クラシックのイメージが強く、もはや「おじさんの音楽」という印象があったからだ。しかも、弦楽器をまるで打楽器のように叩いているではないか。一風変わった奏法にも驚いた。

とにかく、若いニューヨーカーたちにとってすべてが新鮮だった。演奏が終わると自然と拍手がわき起こり、次々に手が挙がって4人の若手奏者に質問が殺到した。

ただごとじゃない音楽」を演奏していたのは、弦楽四重奏のカルテット「LESS IS MORE(レス・イズ・モア)」だ(以降、LIMと表記)。メンバーは、いずれも東京藝大の在学生・卒業生である。LIMがシティテックに招かれたのは、コロンビア大学の教授で尺八の大師範でもあるジェームズ・シュレファーさんから、ラブコールを受けたからだ。

LESS IS MORE
 

ジェームズさんは、日本の伝統音楽と現代音楽に造詣が深く、シティテックでは音楽史を教えている。たまたま人の紹介で、ニューヨーク公演の準備をしていたLIMの音源を聞くと、たちまち彼らを高く評価した。その結果、「私の授業で演奏してほしい」とLIMにオファーが入ったのだ。

LIMの独創的な音楽は、このほか映画音楽やテレビCMにも採用されるなど、じわりじわり国内外の注目を集めている(以下の動画はLIMが担当した映画『あいが、そいで、こい』〈柴田啓佑監督〉の劇伴「LAST LESSON」)。