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遺言書普及の起爆剤?新制度を利用してさっそく遺言書を預けてみた…!

法務局に遺言書を預けられるようになった

7月10日、遺言書を法務局に預けることができる「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下「遺言書保管法」)が施行されました。

これにより、相続の形が大きく変わる可能性があります。そこで今回は、遺言書保管法の概要、保管申請の手順(実際に私も保管を申請してきました!)、そしてその注意点についてご紹介します。

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遺言書保管法の概要

まず、遺言書保管法のアウトラインをご紹介します。

(1)遺言書保管法とは

この法律は、高齢化の進展等の社会情勢の変化を鑑みて、「相続をめぐる紛争を防止する」という観点から、法務局において自筆証書遺言を保管できる制度を設けるものです。

 

(2)遺言書保管法が制定された背景と目的

自筆証書遺言の方式が緩和された

遺言は、遺産の分配方法等に関する被相続人(=死亡した人)の最終意思を明らかにするものです。また、遺言があれば、原則として遺言の内容のとおりに遺産が相続人等へ承継されるので、これにより遺産分割をめぐる紛争を防止するという効果も期待できます。しかし、遺言は十分に活用されていないのが現実です。そこで、遺言の利用を促進するために、2019年1月13日に自筆証書遺言を作成する負担を軽減する「自筆証書遺言の方式緩和」が施行されました(民法968条2項)。これにより、従来は「全文自書」であった方式が、自筆証書に相続財産の全部または一部の目録を添付するときは、その目録については自書することを要しないこととなりました(「自筆証書遺言の方式緩和」について詳しくは「意外と知らない『遺言の書き方』〜全文自書ではなくなったけれど…」をご覧ください)。

遺言の内容を確実に実現させる~残しても実現されないことがある

遺言の効力は、遺言者(=遺言を残した人)が亡くなったその時から発生します(民法985条1項)

民法985条(遺言の効力の発生時期)
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

一般に、遺言書の内容が実現されるまで(遺言書作成時から遺言者が死亡するまで)は、ある程度の期間を要します。そのため、その期間内に次のような事態が発生して、遺言書の内容が実現されないということがあります。

・遺言書を紛失してしまう。
・相続人等によって遺言書が隠匿・変造されてしまう。
・相続人等が遺言書を発見しないまま遺産分割が行われてしまう。 等

また、自筆証書遺言は、公正証書遺言のように公証人の関与や証人の立会いは不要で、一人で作成できます。そのため、民法968条が規定する自筆証書遺言の方式に違反した遺言書を残してしまって無効になったり、遺言者の死後に「本当に本人が残した遺言なのか」といった遺言書の真贋をめぐる紛争が相続人等の間で生じる可能性も否定できません。

そこで、自筆証書遺言の方式緩和により作成件数の増加が予測される中、以上のようなリスクを回避して、遺言者の死亡後に、自筆証書遺言の内容をより確実に実現するために、遺言書保管法が制定されました。