家庭をぶち壊したくはない、でも不倫はしてしまう。そんなたくさんの既婚者が抱える矛盾。世間を騒がす不倫のニュースを聞くたびに「なぜそこまでリスクの高いことをするんだろう? いっときの性欲と失うものを天秤にかけると、『不倫しない』一択では……」と思っていたけれど、もしかすると原動力が性欲であるという前提が間違っているのかもしれません。「不倫なんてリスクの高いことはしないと思っていたのに」という当事者も多いんじゃないのか……。

というわけで不倫を理解すべく、エスター・ペレルの『不倫と結婚』(晶文社)を読むことに。著者は膨大な数のカップルを世界中で見てきた心理療法士で、彼女の知見が満載の一冊であります。

不倫において最も魅惑的なものとは

そこに書かれていた答えは「人が不倫の中に発見する最も魅惑的なものは、新しい相手ではなく、新しい自分自身である」というもの。つまり、不倫を通して新しいアイデンティティを発見することに人は惹かれ不倫をしてしまうと。なるほど、円満な家庭でも不倫が起こりうるのも「新しい自分」を無意識に欲してのことなんだろう。「よーし、セックスだ! 不倫だ!」というより「ある日、新しい自分への強烈な好奇心に出会ってしまった」からなのかもしれない。

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もちろん性欲もここに関わってくるとは思うけれど、性的興奮とは魅力と障害によって引き出されるもので、「不倫している」という状況による部分が大きい。実際に、不倫関係から晴れて公にパートナーになった瞬間セックスが盛り下がったり、すぐに破局するということが多くあるらしい。「次いつ報酬をもらえるかわからない」という不確定な状況は依存状態を引き起こしやすいという性質も手伝って、不倫中だからこそ人は盛り上がるというのも知っておきたいポイント。

要するに、「新しい自分を手放したくない」かつ「性的に依存してしまう」から「離婚しないとまずい」とわかっていてもやめられないと。