新型コロナの影響で注目を集めている「マッチングアプリ」。スマホ一つで新たな出会いを探せるため、婚活の主流となりつつあります。

FRaU webでは、実際の取材に基づいた「アプリ婚活」のリアルを、共著作家の山本理沙さんと安本由佳さんによってノンフィクション小説としてお届け。アプリの「モテ技」テクニックも満載です。

主人公はコロナ禍で孤独を極め、本気でアプリ婚活を始めたアラサー男女。「結婚」や「幸せ」について見つめ直しながら、果たして二人はベストパートナーにたどり着けるのでしょうか?

【これまでのあらすじ】
結婚に焦り始めた武田留美はマッチングアプリという新世界に足を踏み入れたが、スペックだけで選んだ億男のモラハラ発言に恐怖を覚える。気を取り直して“掘出し物の男”を探すべく、あえて不器用そうな商社マン(ヒョンビン似)をデートに誘うことにしたが…。

独身アラサー女の苦悩

――あーあ。さっさと結婚したい。

何時間もアプリに向かいメールの処理に疲れ果てた留美は、スマホを充電器に繋ぐと、目元美顔器を目に押し当てた。

――婚活って、疲れる......。

アプリで効率的に出会いを探し、今年中に結婚しようと息巻いていた留美だが、すでに心が折れそうだ。たった一度デートに失敗しただけで、想像以上にダメージが大きい。

――私、どうして20代で結婚しておかなかったんだろう......。

今どき30歳までに結婚、なんて固定観念は時代遅れ。仕事にもデート相手にも恵まれているし、焦って結婚相手を探す必要もない。

充実した人生を歩んできたはずなのに、なぜ留美は今、1日に何時間もスマホに向き合い、飢えた猛獣のように男たちを吟味しているのか。

ふと我に返ると、そんな自分が虚しくてならない。

かと言ってこのまま独りで生きていくのかと思うと、孤独に押し潰されそうだ。

『るみさん、明日、リッツ・カールトンのラウンジを予約しています。楽しみにしています!』

――あ、ヒョンビン......。

ポップアップされたメッセージから彼のプロフィールに飛んでみると、スマホ画面に『ナオ29歳』がビションフリーゼと戯れる若々しい笑顔が広がった。