コロナで大逆境の「木下サーカス」、一人もクビにせず「奇跡の復活」へ…!

世界のサーカスが潰れるなかで…
山岡 淳一郎

仲間を守るため、できることをやる

その陣容は、4代目社長の木下唯志氏をトップに役員と営業、総務系の社員が40人、日本人社員の演者と舞台スタッフは45人、ステージごとのギャラ契約の外国人演者が25人、総勢110人である。外国人の出身地は、イギリス、イタリア、ロシア、中国、アメリカ、メキシコなど十数か国に及ぶ。いかにして逆境に耐えているのか。社長の木下氏は語る。

「やはりポジティブにやらないといけません。外国人のアーチストは芸が落ちたら死活問題ですから休演中も死にもの狂いで練習します。日本人も自主練習だけでなく、毎週、音響、照明つけて本番さながらのリハーサルをしてレベルを上げる。社員には毎月25日、諸制度(雇用調整助成金など)も活用して給料を払います。

ギャラ契約の外国人は大変です。ステージがありませんからね。彼らは個人事業主なので100万円の持続化給付金と、1人当たり10万円の特別定額給付金を申請して生活を維持しています。少しでも足しになればと、立川への場越しを手伝ってもらって会社からアルバイト料を払いました」

 

従来の場越しでは、30人前後のアルバイトを延べ2週間程度雇って、巨大テントと観客席、団員が暮らすコンテナハウスの撤収や運搬、移動先での再設営を行ってきた。その間、外国人は自由にすごしていた。

しかし、コロナ禍で生活が厳しくなり、「少しでもお金が外に出ないよう。仲間に回す」(木下社長)ためにアルバイトの募集はせず、外国人に場越し作業への参加を呼びかけた。皆、喜んで肉体労働に汗を流し、サーカス団の一体感はさらに強まったという。