日本ドラマの「ジェンダー観」、実は劇的にアップデートされつつあった…!

『MIU404』『透明なゆりかご』…
西森 路代 プロフィール

第1話では、高校生の主人公・アオイが産婦人科に看護師見習いとして働くところからスタートする。このドラマ、かなり早い段階で、アオイが「90年代の日本の三大死亡原因ってなんだと思う?」と医師に聞かれ「心疾患、脳血管疾患、がん」と真面目に答えると「教科書だったら正解だけど、本当の一位はアウスだ」と言われるシーンが描かれる。アウスとは、人工妊娠中絶のことである。

こうした妊娠や出産が描かれるドラマでは、生まれる命の尊さが描かれることが多いが、本作では「この世に出てきて『おめでとう』って言ってもらえない子がこんなにいるなんて思わなかった」という主人公のセリフが印象深い。

『透明なゆりかご』公式サイトより
 

そして、こうした人工妊娠中絶につきまとうのは、実際に出産する女性の弱い立場である。第1話では、不倫の末に妊娠した女性が登場する。産んだばかりの子と二人で生きていこうと退院していくものの、その後すぐに乳児が死んでしまう。横になって母乳をあげていたときの窒息死なのか、それとも虐待なのかははっきりとは描かれなかったが、ヒロインは前者を信じていた。

また第2話では、女子高生がヒロインの働く産婦人科の前に産んですぐの子どもを捨てるという事件が起こる。ヒロインは、彼女に憤りの気持ちを伝えに行こうとするのだが、その女子高生もまた人知れず苦しい思いを抱いていたのだった……。

ドラマが描くように、世の中には困難に満ちた妊娠・出産というものが存在する。そうした困難に伴う様々な痛みを引き受けるのは、圧倒的に女性であることが多い。出産自体の身体的なリスク、子育ての負担……。妊娠や出産は、男性と女性の行為によって引き起こされることだが、その痛みを引き受けるのは、女性である可能性がきわめて高いのだ。