日本ドラマの「ジェンダー観」、実は劇的にアップデートされつつあった…!

『MIU404』『透明なゆりかご』…
西森 路代 プロフィール

百合ちゃんは、風見に思いを寄せる女性から「50にもなって若い男に色目を使うなんてむなしくなりませんか?」と言われるのだが、それに対して、

今、あなたが価値がないと言って切り捨てたものは、あなたが向かっていく未来でもあるのよ

私たちの周りにはね、たくさんの呪いがあるの。あなたが感じているのもその一つ。そんな恐ろしい呪いからは、さっさと逃げてしまいなさい

と返答する。

女性が年齢が上がるに従って「(女性としての)価値を失っているのではないか」と自信をなくしたり、選択肢の幅が狭められたりしてしまうこと、そうした状況に自らが縛られてしまうといったことに疑問を持つ感覚は、それまでもぼんやりと共有されていたと思うが、それをハッキリと「呪い」として名指し、多くの人がそんな「呪い」に気づかされたのがこのドラマであった。

 

女性たちの実感

現在放送中の『MIU404』も、星野源と綾野剛というふたりの男性刑事のバディものでありながら、その周囲にいる女性たちの「日常的な実感」を丁寧に描いている。

『MIU404』公式サイトより

注目すべきは7月17日に放送された第4話。1億円を横領し逃走している最中にヤクザに銃で撃たれたという女性が登場する。

星野と綾野演じる刑事二人がその行動を追っていくうちに、彼女は、かつてホステスをしていたときに店の客の誘いで裏カジノに誘われ、そこで作ってしまった借金を返済するために風俗とカジノ店でのダブルワークをしていたこと、そしてカジノ店で働いていたところ、警察のガサ入れがあり、自らも捕まり前科持ちになってしまった過去の持ち主であることが発覚する。

彼女は出所後に会社に就職するも、その会社も暴力団が資金洗浄をしているフロント企業だった。その会社が不正に得たお金を横領していたことから、命を狙われていたということが明らかになる。