日本ドラマの「ジェンダー観」、実は劇的にアップデートされつつあった…!

『MIU404』『透明なゆりかご』…
西森 路代 プロフィール

『逃げ恥』は、「恋ダンス」や「ムズキュン」というキャッチーな要素でも話題となったし、ラブ・コメディとしても楽しめる作品であるが、実際にドラマをみると、圧倒的に「社会派ドラマ」であることがわかる。

周知の通り、この作品は、契約・偽装結婚をすることになった津崎平匡(星野源)と森山みくり(新垣結衣)が、次第に本当の恋に落ち、結婚(しかも事実婚である)に至るまでを描いたものである。

もともと家事代行サービスの提供者として平匡に雇われていたみくりは、仕事として賃金をもらって家事労働をやっていたわけだが、恋愛を経て結婚となったときには、家事が当然のごとく無償労働となってしまう。しかも「仕事」よりも低い位置づけを与えられてしまうという過去から現在にまで続く大きな問題を浮き彫りにしている。

『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより
 

作品の終盤で、みくりを演じる新垣に、家事労働を「好きの搾取です」と言わせたことも大きな話題を読んだ。やりがいが提供される代わりに低賃金を押し付けられる状況が「やりがいの搾取」と言われるが、それに絡め、「結婚をするのだから、愛がある。だとしたら家事はやって当然でしょ?」という理由で家事をパートナーに押し付けることを「好きの搾取」と呼んだのだ。共働き時代の夫婦間に未だ残る性別役割分業の問題に一石を投じた。

また、みくりの叔母・百合ちゃん(石田ゆり子)と、17歳離れた「甥っ子」のような存在の風見(大谷亮平)という年の差カップルの描き方も秀逸だった。