2020.08.04
# 医学

ようこそ「へそワールド」へ!女子大生が最も気にするのはへその●●

あなたの知らない「へそ学」の世界(1)
岡田 忠雄 プロフィール

 へそは、何故くぼむ?

歴史的に有名なミロのビーナス像(紀元前に古代ギリシアで作製、ルーブル美術館管理)では、へそはゆるやかにひねられた体幹ウエスト部のくびれ目に、やや上向きに開口したくぼみとして明瞭に表現されています(三鍋俊春ら、形成外科56、2013)。

ミロのビーナス像のように、へそは、何故くぼむのでしょうか?

これには人が発生するときの、母と胎児(生まれる前を胎児といいます)をつなぐ唯一の臓器のさい帯(へその緒)とお腹の壁の構造によるのです。

ミロのビーナス像(photo by iStock)

さい帯はヒアルロン酸と水成分に富むゼラチン様基質で満たされたワルトンゼリーの中を、2本のさい動脈と1本のさい静脈が通り、母の栄養分(酸素やブドウ糖など)を胎児に送ります。出生後に、さい帯クリップでへその緒を留め、母体と胎児の間の血流を遮断します。

結紮されたへその緒は徐々に血流を失い、生後約1週間で乾燥脱落(さい脱といいます)して、へその形状が作られていきますが、筋肉がないへそは線維組織に置き換わって陥凹したまま上皮化し、へそのくぼみとなるのです。

 

へその標準的な形について検討した報告があります。くぼみについては、一般的には縦長が良く、小児ではほぼ正面を向き、成人ではやや上向きになるとされています(朴修三ら、形成外科34、1991)。

事実、梶川(形成外科48、2005)が一般人200人を対象に行ったアンケートでも、その75%例で縦長がよいと答えています。

このため、へその形成術では、やや縦長のくぼみでほぼ正面を向いたへそを作るのがよいとされています。くぼみは深い方が望ましく、0~3歳が4.2mm(平均値)、4~7歳では5.5mm、8~11歳では6.3mm、12~16歳では8.0mmが目安です(前述、朴修三ら)。通常、自分のへその深さが◎◎mmと計測している人はなかなかおらず、くぼみが深いや浅いとかは、印象の世界です。

知って得するへその役割

ところで、生まれた後のへその機能には3つあることを御存じでしょうか?

一つ目は、へそゴマとして垢を溜める機能です。

へそのゴマは、はがれ落ちた皮膚の古い角質と雑菌数が多い塊(ノースカロライナ州60人において、29種~107種、平均67種;PLOS ONE、2012)で垢として溜まり、へそには陥凹したシワが多いため、自然に脱落しないこともあります。

へそゴマの意識度について面白いアンケート調査があり、入院中の成人100人(男61人、女39人:胃がんや大腸がん患者など)に「へそのゴマは何だと思うか」を聞き、垢61%、ゴミ11%、大切なもの18%、その他10%でした(池田智梨ら、消化器外科14、2009)。

垢という答えは理解しやすいですが、大切なものがへそに宿っているとも解釈できとは、「へその神秘」のようで意味深です。

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