妻の「裏切り不倫」を疑ったせいで、すべてを失った年収2000万医師の悲劇

嫉妬に狂った男の悲哀
江幡 吉昭 プロフィール

洗脳とはさすがに考えすぎでは、と思うでしょうが、彼がそう感じるのにも理由がありました。実は少し前、叔母から妻についてある噂を聞かされていたのです。なんと、彩香さんが会社のお金を使って男達とお酒を飲み歩いているとか、経費を個人的な買い物に使っているといった内容です。

彩香さんには仕事に見合う充分な給料を払っているつもりでした。まして、自分が医者として人の命を救うために日々頑張っている間に妻が別の男と会っているはずがない。当初は中田さんも叔母の言葉を受け流していたのですが、社員たちにないがしろにされるようになり、それは事実かもしれないと思うようになっていったのです。

 

彩香さんが実際にやっていたこと

実は叔母が、彩香さんの悪口を言うのにも、わけがありました。

前にも書きましたが、中田さんが相続した土地は、父親が存命の時から叔母も共有名義になっており、相続後も父親の名義が中田さんに変わったものの、叔母の名義はそのままでした。これは、相続の専門家である私に言わせれば、最悪です。土地が共有名義になっている場合、将来的な建て替えや売却をしたいと思う時、共有者間の合意がなければ実施できません。ここでトラブルが起きる可能性が非常に高くなります。

さらに名義人が死亡して、相続が起きると、もめ事が複雑になる危険性も高いのです。彩香さんは、それを知っていました。そこで、将来、叔母が亡くなって相続が発生したときに備えて、「現物出資」という方法を使って、不動産名義を中田さん単独名義に変更していたのです。

不動産の名義を外してもらうためには、不動産の価値に見合う何かを渡さなければいけませんが、中田さんには残念ながらそれだけの現金はありません。そこで、現金ではなく「自社の株」を叔母に渡し、叔母の方は不動産の共有持ち分を中田さんの会社に渡すという手法を使いました。これが現物出資で、現金がない中で土地の共有問題を解消する裏技的手法です。将来の相続争いの芽を摘むためのベストな方法と言っていいでしょう。

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