「スマホ・ゲームは目に悪い」説、意外に「そうでもない」ことが判明

「やりすぎは近視のもと」は本当なのか?
井出 草平 プロフィール

近視増加の原因は「大いなる謎」

近視の最も大きな原因は遺伝である。このことは科学的研究でも強く支持されている。しかし、遺伝が原因であれば、近視の有病率、つまり近視の人は一定数で変化しないはずである。

実際には、日本では近視の人は近年増加しているし、世界をみても、近視の増加が報告されている。中国や韓国をはじめ、東アジアでも大きな社会問題になっている。近視は社会的な関心が高く熱心に研究されているが、増加の根本的な原因がほとんど分かっていない、大きな謎なのだ。

その中で、近視の原因として強く疑われているのが、「近業(Near-Work)」である。読書や勉強など近くを見る作業のことを指し、スクリーンとの距離が近い携帯ゲーム機やスマホも含まれる。定義によっては数メートル離れたテレビ視聴、テレビに接続する据え置き型のゲームが含まれることもある。

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近業が近視に関与していることを示唆する報告は存在している。法学部生や医学生などの高学歴集団では、近視の有病率は80%を超えるという報告がある。また、顕微鏡の職業的使用をする検査技師は成人になってからも業務のために近視になったり、それが悪化するということも報告されている。

長らく検証されてきたのは、勉強時間の増大によって近視になる人が増えたという仮説だった。そこへゲームやスマホといったトピックが加わったのは、最近のことである。これらも近業には違いないため、疑う理由は十分にある。しかし意外なことに、近業と近視の関係に否定的な研究は多く、ゲームとの関連は否定されている。

近業と近視の関係を調査した研究結果は割れている。例えばオーストラリアの研究では、連続読書時間が30分以上の子どもは1.5倍近視になりやすい、中国の研究では、10時間以上勉強すると1.43倍近視になりやすいと報告されている。一方でシンガポールの研究では、近業と近視の進行には関連がみられない。近視の子どもたちが都市部に多いことに着目した中国広東省の農村部と都市の比較研究では、人口密度が高いほど近視リスクと関連していることは確認されたが、勉強時間、屋外で過ごす時間、家族の教育レベル、経済発展と近視は関連がみられていない。

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