「スマホ・ゲームは目に悪い」説、意外に「そうでもない」ことが判明

「やりすぎは近視のもと」は本当なのか?
井出 草平 プロフィール

実は、エビデンスはなかった

小児眼科医であり、アメリカ眼科学会の広報担当であるアーロン・ミラーはワシントン・ポストの取材に対して、ゲームを排除する中国政府の姿勢を「極端なスタンス」であるとしたうえで、「ゲームやテレビなどでスクリーンを観ている時間と近視には直接的な相関関係や明確な因果関係はない」とコメントしている。BBCでは「ゲームが目に悪いって誰が言っているの?」という少々煽りの入った記事も掲載されている。英米のメディアは「ゲームは目に悪い」という認識を否定する傾向にあり、眼科の専門家たちもそれを支持しているのだ。

アメリカ眼科学会の見解が分かった時点で、ゲームと視力に関する研究の動向は予想がつくだろう。実際に出版されている研究論文でも、スマホやゲームによって近視が引き起こされるというエビデンスはほとんどない。そういったエビデンスを確認することは香川県の条例の立法根拠がないことや、中国の政策が間違いであることを指摘するのに意義があるだろう。

 

しかし、それ以上に生活習慣やデジタルデバイスの使い方について考えるいい機会になり、パソコンの前で仕事をすることが多い筆者自身も生活を見直すことを考えるようになった。デジタルデバイスを長時間使い続けるのは、目に負担をかけるのは間違いないが、それ以上に、休憩の取り方、姿勢、画面との距離などの影響が大きい。

最近、自宅でのリモートワーク勤務をする人が増えたが、誰もが書斎を持っているわけではなく、立ったままであったり、ソファやベッドで作業をせざるを得ない人もいるという。環境が整っていない中で長時間の作業をすると、眼精疲労や身体の疲労の原因となる。

また、近視という点ではリスクが高いのは未成年である。子どもを持つ家庭では、ゲームよりも、近視のリスクの高いものはあり、子どもの環境を整えていくことが課題となっているが、ほとんどの家庭では顧みられていないように思われる。

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