今年7月上旬の熊本での水害〔PHOTO〕Gettyimages

水害大国・日本、じつは「浸水危険エリアに住む人」が激増していた…!

住宅供給の大問題

今年も西日本を中心に各地で大雨の被害が多発している。以前と比較して雨の降り方が大きく変わっているのは間違いないが、浸水被害が甚大化している要因はそれだけではない。浸水被害を受けやすいエリアに建設される住宅が増えており、これが被害の規模を大きくしている。日本はすでに人口減少フェーズに入っているにもかかわらず、なぜ危険なエリアに住宅が大量供給されているのだろうか。

7月上旬の水害で球磨川が氾濫、熊本県人吉市では被害が拡大した〔PHOTO〕Gettyimages
 

浸水リスクの高い地域に住宅が

日本における平均気温は年々上昇を続けているが、年間降水量の平均値に明確な上昇トレンドは観察されていない。だが、全体の降水量が変わらなくても、局地的に大雨が降りやすくなれば、当然、洪水の被害は大きくなる。近年、豪雨が急増しているのは、海水の温度上昇で高気圧の活動エリアが変わり、前線が日本の上空に停滞しやすくなったことが原因とされる。

局地的であっても、従来、想定されていた雨量を超えてしまうと、堤防などの治水インフラが耐えられず、浸水被害が多発しているという状況だ。日本で豪雨が発生しやすくなることや台風が巨大化することは10年前から予測されていたことではあったが、現実問題として短期間で治水インフラの水準を上げることは難しいので、豪雨による被害の激甚化は、半分は不可抗力的なものと捉えてよいだろう。

だが、残りの半分は必ずしもそうとはいえない。その理由は、浸水被害が発生しやすいエリアに住む人の数が増加しているからである。浸水被害の拡大が確実視される中、危険なエリアの住宅開発が進んでいたのだとすると、これは政策によって回避できた被害であり、ある種の人災であるとの解釈も可能となる。

山梨大学の研究によると、浸水想定区域に住む人の数は1995年から2015年の20年間で約150万人も増えている。危険なエリアに住む人の数が増えれば、被害の規模が大きくなるのは当然の結果だろう。