「中国が沖縄を潰し、尖閣諸島を奪る」米国「ヤバい論文」の中身

今回ばかりは洒落にならない
時任 兼作 プロフィール

さらに1989年に東西冷戦が終結したことを受け、1991年末に米国がクラーク空軍基地、スービック海軍基地をフィリピン政府に返還し同国から撤退すると、直後から南沙諸島で中国軍が活動を活発化。1995年には、フィリピンが実効支配していたミスチーフ礁を占拠し、建造物を構築したのだ。

いずれも「大国の不在」を突いたものであった。

 

米国は動かない可能性

そして現在――。米国はドナルド・トランプ米大統領のもと「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げ、国際協調に背を向けつつある。軍事介入にも消極的だ。先に触れたシナリオのように、たとえ尖閣諸島が攻められても、米軍が動かない可能性が高い。

「中国の侵略史から見て、尖閣諸島問題でキーになるのは米国のプレゼンスなのだが……」

防衛関係者も、歯切れが悪い。

米国は、公式には尖閣諸島も日米安保条約の範囲内であるとしている。その5条には、こう明記されている。

《各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する》

2017年2月に来日したジェームズ・マティス米国防長官(当時)も、「尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、日米安保条約5条の適用範囲だ」としたうえで、「米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と中国を牽制している。

これは、バラク・オバマ前大統領の発言を踏襲したものだ。2014年4月に行われた日米首脳会談の際、オバマ前大統領は「日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言した。