年を取って当たり前

2014年には『HERO』の第2シリーズが放送されたが、13年前と同じキャラクター、同じ口調に同じスタイルの久利生公平役は、皮肉なことに、キムタクがもう「若者ではない」ことを明らかにしてしまった。
 
当たり前だ。40代としては並はずれた若さとカッコよさを保っていても、20代の頃と全く同じでいられるわけがない。人は、年を重ねて変わっていくのが自然なのだ。

2007年、映画版『HERO』で招待された釜山国際映画祭にて。久利生公平は当たり役だった。むしろだからこそきちんと年を感じたともいえる。そして、年を重ねるのは当たり前で、年を重ねたからこその良さもあるはずだ Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images

さすがにその事実を踏まえて方向転換を図ったのか、2015年の『アイムホーム』では、ヒーローではなく、記憶を失くしたサラリーマン役に挑戦している。

そのチャレンジは一定の評価を得たようだが、まだ、少し中途半端な印象はぬぐえなかった。
キムタクが「キムタクの呪縛」から逃れるためには、もっと大きな「通過儀礼」が必要だったのだ。
 
2016年、まるで青天の霹靂のように、国民的アイドルグループ「SMAP」の解散が発表された。

解散の理由については、真実はご本人たちにしかわからない。
だが、この解散劇で他のメンバーと袂を分かったことで、キムタクは「裏切り者」とみなされ、世間から大バッシングを受けることになってしまった。

 
SMAP解散直後、2017年に放送された『A LIFE~愛しき人~』は、天才外科医役を演ずるも、いまひとつ以前のような勢いはなく。
主演映画『無限の住人』は、キムタク主演としては期待に届かず、「大コケ」とも報じられた。
折悪しく、プライベートで車の玉突き事故を起こしたキムタクは、CM契約も相次いで打ち切りとなり、一時は「厄年か?」と言いたくなるほどの逆風にさらされてしまった。

余談だが、SMAPの歌に「STAY」という名曲がある。ファンからのリクエスト投票で1位となり、最後のベストアルバム『SMAP 25YEARS』にも収録されている曲だ。
この曲の歌詞が、メンバーの想いそのままのようで、解散後に聞くと、めちゃくちゃ切ない。

2016年12月の発売からずっと、私の車にはこの3枚組CDが入れっぱなしになっているのだが、「STAY」を聞くたびに、キムタクの「孤独」を思って、何度泣いたかわからない。

2017年、『無限の住人』で招待された釜山国際映画祭にて、三池崇監督、杉崎花さんと。「興行収入が高くて当たり前」となると、ある程度の好成績でも「大コケ」と報じられてしまう悲しみ… Photo by Gisela Schober/Getty Images