「キムタク」が国民的呼称に

さらに、ダメ押しは1996年の「月9」初主演ドラマ、『ロングバケーション』だ。
年下ピアニストの瀬名くんと、山口智子さん演じる南の恋は、月曜日の夜ごとに視聴者の心をキュンとさせ、「木村くん」ならぬ「キムタク」は、完全に日本を代表するイケメンアイコンとなった。
当時、キムタク24歳。

『ロングバケーション』で山口智子さん演じる山口智子さん演じる南と木村さん演じる瀬名との掛け合いも大絶賛だった。そういえばこの作品、松たか子さんまで出演している。豪華すぎる傑作だ Photo by Getty Images

ちなみに、「キムタク」という呼び名が広まり始めた頃、ご本人が何かの番組で「キムタクと呼ばれるとムカつく」とおっしゃっていた記憶がある。
それ以来ずっと、「キムタク」と呼ぶのにイマイチ抵抗があって、私はずっと「木村くん」と呼んでいるのだが、この記事中では「キムタク」と表記させていただく。

ともあれ、20代後半のキムタクは本当にかっこよくセクシーで、惜しげもなくフェロモンを大量放出していた。
 
1997年の『ラブジェネレーション』
私的に「ベスト・オブ・キムタク」な1998年の『眠れる森』
最高視聴率41.3%を記録した2000年の『ビューティフルライフ』
そしてキムタク史上最高の当たり役となった2001年の『HERO』
 

故・野沢尚さん原作の『眠れる森』。ドラマでは中山美穂さんと木村拓哉さんが主人公を演じた。見てから読むか、読んでから見るかという傑作同士だ 


「国民的イケメン」の座と「視聴率男」の名を欲しいままにしていたキムタク。しかし、2000年代に入ったころから、私のキムタク熱は急速に冷め始めた。
別に嫌いになったわけではないが、あまりにもポピュラーな存在になりすぎて、新鮮味を感じなくなってしまったのだ。
 
かっこいいのが当たり前。視聴率を取れるのが当たり前。
 
私の感覚はものすごく一般的なので、おそらくそれは、世間の多くの人たちの感覚と一致していたのではないだろうか。
相変わらずの人気を誇りながらも、「キムタクは何をやってもキムタク」とささやかれ始めたのもこの頃だったように思う。

2004年にはウォン・カーウァイの『2046』に出演、カンヌ映画祭ではカリーナ・ラウ、トニー・レウォン、チャン・ツィイーという豪華すぎるメンバーでレッドカーペットを歩いた Photo by Bruno Vincent/Getty Images

『HERO』以降、『GOOD LUCK!』(2003年)、『プライド』(2004年)、『エンジン』(2005年)、『CHANGE』(2008年)と、立て続けに似たようなキャラクターの似たようなドラマが続く中で(2007年の『華麗なる一族』はテイストが違う)、さすがの「キムタクドラマ」も、少しずつ視聴率が下降し始めた。
 
時代とともにテレビの視聴方法も変化し、総じてドラマ全体の視聴率が下降傾向にあるのだから、一概に「視聴率低下=キムタク人気の陰り」ということはできない。映画では、2000年代に入ってからも、後述する『ハウルの動く城』『武士の一分』などで大成功を治めているのだから。

だが、「何をやってもキムタク的なドラマ」の連続に、次第に視聴者が飽きていったことも事実だと思う。
キムタク主演ドラマは必ずチェックしていた私でさえ、いつの間にか、その意欲が薄くなりつつあった。