2020.07.31
# エンタメ

「プリキュアの父」が危機感と期待を込めて児童書発アニメに全力を注ぐ理由

『おしりたんてい』『人体のサバイバル!』…
飯田 一史 プロフィール

――そもそもアニメ、テレビ業界には、この20年児童書が好調で新しい人気シリーズが次々生まれているという認識は浸透しているのでしょうか。

鷲尾 うーん、そこは難しいですね。以前、出版社の児童書担当の方から「すごく売れていると思っているんですが、世間では『何それ?』と言われてがっかりしてしまう」と聞いたこともあります。経験的に、子どもたちの流行は半年ぐらい経ってから保護者の間で広まり、そのあと社会や世間で話題になるまでさらに1年から1年半くらいかかる。つまりお金を動かすポジションにいる人たちが人気に気づくまでには相当な時間がかかります。盛り上がるタイミングに時間差があって、大人が気付くころには出版のほうが一段落していたりですとか……。

 

アニメにするには「人気・知名度」×「商品展開のしやすさ」が求められる

――とするとロングセラー、ないしは継続刊行が見込まれるシリーズでないと映像化企画を成立させること自体の難易度が高い。

鷲尾 『サバイバル』は10年以上前から続く人気作品ですが、ビジネス的な着地点を見つけるのに時間がかかり、映像化するまでに3、4年かかってしまいました。

たとえば民放のテレビ番組としてアニメを作る場合にはスポンサー企業がないと成立しません。テレビ局にとっては視聴率、広告代理店やスポンサーにとっては商品展開が大事です。となるとまず知名度の高さが求められます。すると新規作品よりもすでに人気・知名度があって、過去に実績があるものが選ばれやすい。新規作品では部数が数十万~100万部クラスのものが望ましいとされます。

ところが児童書の部数はマンガと比べると小さいわけです。数万部で大ヒットと言われ、シリーズの累計部数では1桁から2桁コミックスとは違う。

(C)Gomdori co., Han Hyun-Dong/Mirae N/Jeong Jun-Gyu/Ludens Media /朝日新聞出版・東映アニメーション

――しかし児童書は図書館から借りて読まれることも多く、刷り部数の数倍から十数倍は読まれています。単純に部数だけで比べると見劣りするかもしれませんが……。

鷲尾 確かに児童書は「回覧するもの」という印象はありますよね。しかしたとえ人気・知名度のハードルを乗り越えたとしても、次に来る問いが「商品展開できるストーリーやキャラクターなのか?」です。児童書にはストーリー性に優れている作品がたくさんありますが、映像化にはビジネスが成立しないといけない。キャラクターグッズ、アイテムなどが展開できる要素が含まれているかと言うと、残念ながらそういう作品は少ないと思います。さらにはお子さんが継続的に「観たい!」と思える、インパクトの強いキャラクターがアニメーションでは望まれます。

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