スーパーコンピュータ富岳(理化学研究所提供)

ものづくり日本復活!米中を抜いたスパコン「富岳」世界イチの応用力

立役者は、日本の技術力の結晶CPU

スパコン世界ランキング1位を奪還

日本時間の6月23日、スーパーコンピュータ(スパコン)の性能を示す世界ランキングで、理化学研究所(兵庫県神戸市)の富岳が1位を獲得した。

半年に一度発表されるこのランキングで、日本のスパコンが、世界1位となったのは、2011年11月の「京」以来、8年半ぶりのことだ。

スーパーコンピュータ富岳(理化学研究所提供)
 

コロナ禍で暗いニュースが先行するなか、日本の技術力を世界に知らしめる出来事として大きな話題を集めたのは記憶に新しい。理化学研究所計算科学研究センターの松岡聡センター長は「富岳が世界のトップレベルでいる期間は相当長いと考えている。そして、富岳に搭載した半導体は、日本の半導体産業の底力を示し、復活の狼煙をあげることができたという意義がある」と語った。

しかも、富岳は、単に世界1位を獲得しただけではない。「驚異的」ともいえる3つのポイントがあることが見逃せない。

1つめは、史上初の同時4冠獲得という偉業を達成したことだ。

一般的にスパコンの世界ランキングは、TOP500と呼ばれるカテゴリーで評価される。これは、スパコンが得意とする科学技術計算や産業アプリケーションで用いられる演算能力をもとに、世界でもっとも高速なコンピュータをランクづけするものだ。

今回の性能調査で、富岳は2位となった米オークリッジ国立研究所のSummitに対して、約2.8倍という大差をつけた。

そして、富岳が1位になったのはこれだけではない。HPCG、HPL-AI、Graph500という3つの部門でも同時に1位を獲得したのだ。

HPCGは、「スパコンでアプリケーションを稼働させたときの性能」に近い評価指標と言われており、実用面で高い性能を発揮することを示すものだ。またHPL-AIはディープラーニングなどのAI処理の性能を評価するものであり、今回のランキングから初めて追加された部門だ。

そしてGraph500は、ビッグデータ処理などの性能を評価する指標。もともと日本のスパコンが強い分野でもあり、京はTOP500の首位から陥落してもこの分野ではトップを維持していた。