現在小学3年生の息子さんを持つ作家の海猫沢めろんさんが、自身の子育てに対する考え方を実際の経験とともにユニークな視点で綴った人気連載「パパいや、めろん」。それがなんとこの度バージョンアップして『パパいや、めろん 男が子育てしてみつけた17の知恵』という一冊の本になりました。

そこで今回、刊行記念として、現在小学2年生の息子さんを持つ小説家の川上未映子さんとめろんさんの対談が実現! 以前、川上さんが育児エッセイを出したときに痛感したという、男女における「子育てへの姿勢の違い」とは? めろんさんが本書を出すきっかけとなった「地獄のワンオペ育児」の話や、今なお解消できていないと語る「意外な悩み」についてなど、さまざまに語っていただきました。

写真:金栄珠

海猫沢めろん(うみねこざわ・めろん)
1975年大阪府生まれ。様々な職業を経て文筆業につく。カリスマホストがクラウドファンディングを使った子育てに挑戦する『キッズファイヤー・ドットコム』で第59回熊日文学賞受賞。医大生のパートナー、9歳になったばかりの息子と共に九州住まい。

写真:金栄珠

川上未映子(かわかみ・みえこ)
大阪府生まれ。『乳と卵』で芥川賞、『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞と紫式部文学賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、『あこがれ』で渡辺淳一賞、『夏物語』で毎日出版文化賞など多くの文学賞を受賞。一児の母。エッセイ『きみは赤ちゃん』は妊娠・出産についての鋭い分析が話題となった。

笑えて役立つ育児本

川上未映子(以下、川上) 海猫沢さんとはもう長い付き合いなので、今日はいつも通り「めろん」と呼ばせてもらってもよいでしょうか(笑)。

海猫沢めろん(以下、海猫沢) いいよ。ぼくもいつも通り「未映子」って呼びます(笑)。


作家になる前から知り合いだというお二人。お子さんの年齢も一歳違いで、海猫沢さんのお子さんは小学3年生、川上さんのお子さんは小学2年生で、どちらも男の子です。

川上 『パパいや、めろん 男が子育てしてみつけた17の知恵』刊行おめでとうございます。「web版FRaU」での連載も拝読していました。めろんにとって初めての育児エッセイになりましたが、男性が書いた育児本を参考に読んだりしましたか?

写真:金栄珠

海猫沢 めっちゃ読んだ(笑)。でもそれは育児本を書くためじゃなくて、単純に育児とは何か知るためで、子供が生まれた9年前からずっと読み続けてる。ぼくは何かを始めるときはまずマニュアルを読む癖があって、子供が生まれたときにも、とにかく育児とは何かインストールしなくちゃと思って読み始めました。

国内外問わずたくさん読んだけど、育児本ってだいたい3つに分けられて、「自己啓発系」か「お役立ち系」か「おもしろ系」か。

「自己啓発」は、子供を一人の個人として尊重しようという方向で、結果ではなく努力を見ようとか、怒るより褒めようとか、そういう感じ。男性の育児本はこっちの方向が多くて、経営とかマネジメントをからめてくる(笑)。

「お役立ち」は著者が女性のことが多いんだけど、ぼくとしては「お役立ち」と「オモシロ」系の両方がある、「笑えて、役に立つ」本が書きたいと思った。漫画だけど、東村アキコさんの『ママはテンパリスト』みたいなイメージ。

川上 それはどうして?

海猫沢 ユーモアって、性別に関係なく受け入れられるものじゃないですか。『パパいや、めろん』は、子育ての「あるある」や「お役立ち」、それから夫婦のすれ違いを解消する方法をぼくなりに考えて書いた本で、説教臭くしたくなかった。子育てしている女性を読者として想定しているんだけど、ぜひ夫に渡して一緒に読んで欲しいんだよね。そこで「コミカルさ」というのは必須の要素だと思いました。