タイガー「奇跡の一打」を体得! ラフから鬼のように寄るアプローチ

集中連載「科学的ゴルフ上達法」第6回
板橋 繁 プロフィール

まず大事なのは、セッティング(構え)だという。次の図をご覧いただきたい。

【図】セッティング(構え)

写真左 1 両足を平行にして、こぶし1つから1つ半分の間隔に開く   2 かかとを支点に、両足のつま先をほんの少し左(ターゲット側)に向ける
写真右 3 上半身を少しだけ右に回し、 胸が正面を向くようにする  4 両ひざをややターゲット方向に押し込んで、「体を入れた」状態をつくる=インパクトを想定した形    5 右前腕部を回外しながら右ひじを身体の中心線に近づけ、右脇腹の前に右ひじがくるようにする。右脇が締まり、左6対右4の配分で左足に体重がかかる  6 正面から見て、必ず右目の真下にボールがくるように構える  7 グリップは左脚太ももの前で、正面から見ると、シャフトが目標方向に傾き、ややハンドファーストになる

これが、G1メソッドにおける、基本的なアプローチ、ピッチ&ランおよびピッチショットのセッティングだ。

「日本のゴルファーには、アプローチになると、ボールを右足寄りに置いて、極端なハンドファーストで構える人が多いのですが、これではバンスで芝を擦ることができません。ヘッドが鋭角的に下りてきて、リーディングエッジが地面に刺さってしまいます。

また、右目がボールよりも後ろにあり、ボールの右側が見えてもいけません。ボールをすくってダフリを誘発してしまうので、必ず右目がボールの真上に来るように構えてください」(板橋氏)

なるほど、ミスを減らして、ボールがカップに寄る確率を高めるには、セッティングが大事ということか。

2つの重要ポイント

では、スイングはどうか。

G1メソッドでは、アプローチにおいて何を重視しているのだろうか。

「アプローチのスイングで大事なのは、フットワークを使うことです。絶対に手を使ってクラブを動かしてはいけません」

板橋氏はそう断言する。

「G1メソッドのアプローチでは、両ひじと両腰の動きを同調させてクラブを振り子のように動かします。そのためグリップエンドは、胸の真ん中を走る胸骨をつねに指し続けます。

このとき、手でクラブを動かすのではなく、クラブの慣性に任せることが重要です。そして、クラブの慣性に任せた振り子運動をつくり出すのが、フットワークなのです」

板橋氏によれば、フットワークを使って振り子運動を生み出すポイントは2つあるという。

1つは、「グリップの強さ」だ。クラブの慣性を妨げないように、グリップはできるだけソフトに握るのが正解。ちょっと力をゆるめたらクラブがストンと抜け落ちてしまうぐらい、やわらかくグリップする。

もう1つは、「フットワークを使うタイミング」だ。バックスイングでクラブヘッドが上昇していくと、一瞬、無重力状態のようになり、クラブヘッドの運動方向が切り替わる。この、ヘッドの運動方向が切り替わる直前にフットワークを使うことが、クラブの慣性によって振り子運動をおこなうコツだという。

「右足の拇趾球(ぼしきゅう)とかかとで地面を鷲づかみにし、真下に押すと、右太ももが内旋し、右ひざがターゲット方向にキックインされます。それを左足土踏まずの内側で受け止め、両足土踏まずのあいだで押し合い/へし合いの状態になったら、左腰を後方に引きます。これが正しいフットワークの使い方です」(板橋氏)

この動きは、連載第2回で紹介した「地面反力」と、第4回で解説した「うねりのフットワーク」と共通するものだ。

板橋氏が続ける。

「クラブが無重力状態になる直前にこのフットワークを入れると、ヘッドの重さでクラブが戻ってくるので、クラブの慣性に従ったオートマチックな振り子運動になります。このフットワークが、アプローチのベースになります」

 

「状況別」の打ち分け方

アプローチの基本を頭に叩き込んだら、次はいよいよラフへの対処法だ。

板橋氏によれば、ラフからのアプローチは、ボールの状況によって、打ち方を変える必要があるという。

  1. ボールが少ししか沈んでおらず、芝の上に浮いている状況
  2. ボールが半分ぐらいラフに沈んだ状況
  3. ボールがすっぽりとラフにはまり、上から覗き込まないと見えないような状況
  4. 逆目のラフ

この4つの状況では、それぞれ対処の方法が異なる。

「1の状況であれば、ノーマルのピッチ&ランの打ち方で対応できます。ややフェースを開き、前回の記事でご紹介したような打ち方でアプローチしてください。バンスを滑らせて、ボールの前と後ろにある草ごと刈っていくイメージです。

2の場合は、構えは同じですが、フェースをさらに開きます。30度ぐらいトゥ側を開いて構えましょう。

スイングのポイントは、ダウンスイングで“小さな裏面ダウン”が入ることです。裏面ダウンをおこなってフェースを上に向けたら、クラブヘッドを背中側に置き、トゥ側を後方に向けたまま、フットワークを使って体の回転で『ゆっくり、まーるく』クラブを振ります」(板橋氏)

2の状況では、打ち急ぎは禁物だ。ヘッドを背中側に残したまま、「ゆっくり、まーるく」振ることで、スイングの「助走」が長くなってヘッドスピードが上がり、ラフの抵抗に負けずにヘッドを振り抜くことができる。

残る2つの状況では、思いがけない技術が成否を分けるという。なにか?