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年収1000万の金融マン「早期退職」で急転落…独立から1年でピンチに陥ったワケ

長引くコロナ禍もあり、40~50代会社員を対象にした早期・希望退職募集が増えている。終身雇用を期待して働き続けてきた中高年サラリーマンで転職を考える人も増えているが、この世代に対する求人は少なく、運よく転職できたとしても年収は大幅に減る場合が多い。そこで、キャリアの選択肢として浮上するのが「独立」だ。

巷では独立し成功した経営者の物語はメディアでも取り上げられることが多いものの、一方で独立開業した人の9割は10年以内に廃業するともいわれる。想像もつかない独立後に不安が募り委縮してしまう中高年サラリーマンも少なくないだろう。

自らも脱サラ独立した経営者の1人であり、発売2か月で4刷ベストセラー『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)を著し、ミドル層向けのキャリア研修やセミナーも手掛ける株式会社FeelWorks代表取締役の前川孝雄氏によると、独立で失敗する人には失敗する理由があるという。

※本文で紹介する事例は、プライバシーに配慮し一部設定に変更を加えています。

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周到に準備していたはずなのに…

国立大学を卒業し新卒入社した大手金融機関で28年働いてきたAさんは50歳を迎えるのを機に経営コンサルタントとしての独立を決断した。年収も1000万円をゆうに超えていたが、今後は役職定年などで下がっていくことが見込まれていたのも大きかった。

在職中に中小企業診断士資格を取得し、独立開業セミナーにも足しげく通うなど、持ち前の緻密さから周到な準備も重ねてきた。用心深く独立後の収支を計算し、極力リスク回避できる事業計画も立て、固定費を抑えるべくシェアオフィスにて事業を開始した。

大手企業在職中に接点のあった知人などからの紹介もあり、独立当初から顧問先として中小企業2社を持つことができ、幸先のいいスタートと思われた。大手企業時代の経験を活かし、初めての顧問契約も、提供する業務内容と報酬体系を事細かに定め、事業リスクを最小化することもできた。