子どもを賢くするには?本のプロが伝授「読み聞かせと本選びの答え」

ふたりの男親が語り尽くす
海猫沢 めろん, 飯田 一史 プロフィール

子どもが本当に好きなものとは?

飯田 そういう「大人が与えたいもの」と「本当に子どもが欲しいもの」とのバランスをうまく取っている本がやっぱり人気ですよね。

海猫沢 子どもが興味を惹くものは、ひとつには「抑圧を外してくれるもの」。『うんこドリル』は大人が「だめ」って言うことを合法的にできるからいいし、『ゾロリ』もお母さんがダメって言いそうなことを作中でやっているからいい。

飯田 自由に行動したいんですよね。うちの子は『長くつ下のピッピ』が好きですが、ピッピは家に両親が住んでいなくて片付けなんか全然しないし、靴下は左右別々のものを履く。そのうえ大金持ちで大人より圧倒的に力持ちで奔放に振る舞います。ムーミンも子どもは「かわいいから」じゃなくてムーミン一家がフリーダムだから好きなんだなと息子の反応を見ていて思います。ムーミンママからして家のなかが散らかっていても気にしないし、家の中に木が生えていて熟した実が落っこちてもほったらかしだし。

海猫沢 僕、子どものために「メシマズ絵本」っていうのを作りたいんです。子どもには「ごはんをおいしく食べないといけない」っていう強迫観念があるんです。「まずい」って言っちゃいけないと。でも本当にまずいものも世の中にはある。だから架空の宇宙人がつくるまずいものを食べて思いっきり「まっず~い!」って言うの。で、結論は「おうちのごはんはおいしいなあ」。これは売れます。出版社の方、連絡お待ちしています(笑)。

飯田 一方で、子どもって食わず嫌いが異様に多いですよね。

海猫沢 子どもって、「知ってるものはよいもので、知らないものはよくない」という感覚が強くて、知らないものに対する抵抗がすごい。だから歴史に入るときにもまずわかりやすくキャラから認知させようと考えたんです。ヨシタケ(シンスケ)さんの絵本にしても『おしりたんてい』にしても『サバイバル』にしても、日常シーンから始まって、子どもが遭遇する「あるある」が必ず入ってるじゃない。「子どもが知ってる要素」を押さえていて、さらに「抑圧を外す要素」もある。

 

飯田 なるほど。もうひとつ「子どもなのに大人よりすごい」ものも好きですよね。それも抑圧からの解放かもしれないですが。

海猫沢 日本テレビでやってる『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』がまさにそれだけど、うちの子があれ大好き。

飯田 本だと『ピッピ』もそうだし、角川つばさ文庫から新作書き下ろしを挟んで再刊されている宗田理の「ぼくら」シリーズや、講談社青い鳥文庫から出ている原作・藤本ひとみ原作、住滝良・文『探偵チームKZ事件ノート』がそうですね。『KZ』は中学受験の塾に通う天才小学生が集まって探偵チームを作って、大人も解決できない事件を子どもが解決、主人公の女の子はまわりのイケメン天才少年たちにモテまくる、という話で、いま青い鳥文庫で一番売れています。