子どもを賢くするには?本のプロが伝授「読み聞かせと本選びの答え」

ふたりの男親が語り尽くす
海猫沢 めろん, 飯田 一史 プロフィール

飯田 うちの子どもは4歳男児ですが、歴史学習マンガはまだだめでしたね。話を理解する前にインプットしないといけない情報量が多すぎて。ただ『ねこねこ日本史』は好きで、それこそキャラとして卑弥呼や信長を認識しているみたいです。

海猫沢 すごい売れた『失敗図鑑』とか『東大教授が教えるやばい日本史』も「おもしろい」って言ってたけど、あれも偉人や日本史をキャラとして消費する本じゃないですか。

飯田 そうですね。うちの息子が好きなのは『サバイバル』や「対決シリーズ」のようなSTEM系学習マンガ。あとは学研の「まんがでよくわかるシリーズ」(ひみつシリーズ)。たとえば『鉄のひみつ』だと新日鉄が監修しているので鉄鉱石から鉄が加工されて世の中に届くまでの過程が、溶鉱炉の炉の違いなんかまで詳しく書かれていて、いっしょに読んでいておもしろかった。『高野豆腐のひみつ』から『ゲーミングPCのひみつ』まで幅広いラインナップが出ています。たぶんこのへんの学習マンガを子どもは「コロコロコミック」を読むのと同じ感覚で読んでいると思います。

海猫沢 うちの子も『サバイバル』とか「対決シリーズ」はめっちゃ好き。今の子ってマイクラ(ゲーム『マインクラフト』)をやってるから、そうするとSTEM系への移行が早いのかなと。マイクラだと素材を集めて別の何かを作るけど、意外と現実に即している。染料と砂と砂利を混ぜてコンクリートパウダーを作るとかね。あの感じが『サバイバル』とか「ジャンプ」でやってる『Dr.STONE』と親和性が高い。

飯田 わかります。ただ、寝る前に「これ読んで~」ってマイクラの攻略本を持ってこられて30種類くらいモンスターの名前と特徴を読み聞かせしたり、どの素材とどの素材を合成すると何ができるのかを延々言わないといけなくなるとしんどいですが……。

 

海猫沢 でも「読み聞かせ」って絵本や児童書を読まなきゃいけないわけじゃないと思うんです。僕も正直に言えば「子どもを賢くするために」というより、娯楽のひとつとして読みたいからやっている。いっしょにゲームやったりするのと変わらない。ただ結果として子どもが本に対する苦手意識はなくなるから、それで十分じゃないかな。

別に親が読みたい本やマンガを読み聞かせてもいいと思う。うちでは『蒼天航路』とか『アカギ』とか山岸凉子とか――子どもが読むとやばいシーンは飛ばしてだけど――いっしょに読んでるから。マンガを読ませすぎてサブカルモンスターみたいになってきてて……。2年前、小学校1年生のときに、一番好きなマンガがなにか聞いたら『ブルーピリオド』って言ったんですよ(*3)

飯田 (笑)。

海猫沢 父親が読み聞かせしていない家庭って多いみたいなんだけど、そうなると子どもからすれば刺激が少ないこともあるんじゃないかな。僕の母親は意識が高かったから灰谷健次郎とか読んでくれてたけど、大人が考える「良いもの」を押しつけられてる感じがしてあんまりおもしろくなかった記憶がある。

(*3)海猫沢めろんnote「小1男子が選ぶエモいマンガベスト5