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子どもを賢くするには?本のプロが伝授「読み聞かせと本選びの答え」

ふたりの男親が語り尽くす

家庭の事情から乳児をワンオペ育児することになった経験を持ち、子育てエッセイ『パパいや、めろん』を刊行した小説家・海猫沢めろん(9歳男児の父)。

90年代まで進んでいた「子どもの本離れ」が少子化と出版不況のダブルパンチにもかかわらず2000年代以降劇的に改善された理由を解き明かし、ヨシタケシンスケ、『おしりたんてい』『かいけつゾロリ』『サバイバル』『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』などヒット作に関する批評や取材記事を収録した『いま、子どもの本が売れる理由』を刊行したライター・飯田一史(4歳男児の父)。

ふたりに男親の子どもの本との付き合い方――読み聞かせはしたほうがいいのか? 賢く育てるための本選びとは? 等々――について語ってもらった。

読み聞かせって意味あるの? 賢くなるの?

海猫沢 僕らは作家やライターだから「子どもと本で触れ合うのは当たり前」みたいな感覚があって、たぶん一般的な家庭よりもめちゃくちゃ本を与えていると思うんですけど、そもそも「読み聞かせは必要なのか? 効果があるのか?」という声も多いですよね。

飯田 学校の成績に関係があるのか、という意味ではポジティブな効果はあります。

OECDが2002年に発表した調査では「本を夢中になって読む」ことが読解力向上につながるとわかっていますし、ほかにも、ベネッセが本を読む子の方が読まない子より国語はもちろん算数の成績も良く、幅広い本を読む子のほうが社会を中心に成績が向上した、という調査結果を2018年と19年に出していたりします。

海猫沢 飯田さんの著書『いま、子どもの本が売れる理由』読ませていただいたんですが、実際にエビデンスが書かれていてちょっと驚いたんです。

 

飯田 幼少期の読み聞かせ、親子の読書時間は「本を読む人」にする効果があります。たとえば乳児検診のときにファーストブックとして赤ちゃん絵本をプレゼントし、本を通じて親子の触れ合いの時間をつくる「ブックスタート」が全国の自治体の約6割で行われていますが、ブックスタート実施後の追跡調査では子どもが本が好きになる割合や成績に対してプラスの効果が確認されています(*1)

また、全国学校図書館協議会が行っている学校読書調査でも「子どものころ親に本を読んでもらったことがあるか?」という質問に対してイエスの回答者のほうが中学校までは読書冊数が多い(*2)。高校以上では相関が見られないんですけど、それでもざっくり「読み聞かせは中学校までの成績には関係ある」とは言っていいのかなと。

海猫沢 この前、塾でやってる全国テストで子供が九州で5番だったんですけど、すこしは効果あったのかも知れません。とはいえ、算数のほうが得意なんで関係ないかも知れませんが(笑)。ただ、うちの子どもが他の子と遊んでいるところを見てると、明らかに語彙が多いですね。

飯田 算数も文章題が理解できない子が多いようで、国語能力が結局必要だと最近では言われているので、効果があったんじゃないでしょうか。

(*1)英国では1994年からバーミンガム教育大学研究班が調査開始、日本では梶浦真由美「北海道恵庭市におけるブックスタートの検証 母親からの聞き取り調査を通して」,「絵本学」2011.No.13などに詳しい。
(*2)「学校図書館」2013年11月号など。