多くの小中学校に「自学」という宿題があることをご存知だろうか。テーマは何でもOK、自分が興味をもったことについて調べてノートにまとめるというものだ。アクティブラーニングの一環として行われているが、効果があるのかわからないという人も少なくない。

そんな中、小学校3年生のときからこの「自学」にハマり、以降高校3年生の現在まで9年間で27冊のノートを作成し続ける男の子がいる。北九州市に暮らす梅田明日佳さんだ。梅田さんは中学3年生のときに自学の経緯を自身でまとめた原稿で「子どもノンフィクション文学賞」中学生部門の大賞を受賞した。2019年5月1日にはNHKスペシャルBS1で『ボクの自学ノート~7年間の小さな大冒険~』という梅田さんのドキュメンタリー番組が放映、のちにNHKスペシャルでも放送されて話題となった。

そんな梅田さんの「自学ノート」を紹介した『ぼくの「自学ノート」』(梅田明日佳著、小学館)が刊行された。SNS全盛の時代に、B5の方眼ノートに一文字一文字ていねいに書き続ける姿からは、「自分で学ぶ」ことの意味がきっと感じられるはずだ。編集に携わった小沢一郎氏が梅田さんについてまとめた。

文/小沢一郎 写真/森清、クレジットのないノート写真は『ぼくの「自学ノート」』より

小3からハマった「自学ノート」

福岡県北九州市の男子高校生が書いている「自学ノート」が注目を集めている。
「自学」とは、おもに小中学校で本来の宿題のプラスアルファとして出される「何をしてもいい第二の宿題」のことだ。例えば、「学校で習った歴史上の人物について、教科書にのっていないエピソードを紹介する」「数学の応用問題を、問題文や計算式から答えまでもう一度書き写す」などと、子どもたちは自分でテーマを決める。しかし、学校で習ったことをテーマにして本やネットで調べて写すだけで終わってしまう場合が多く、子どものからも保護者からも評判はイマイチのようだ。

ところが、東筑紫学園高校3年生の梅田明日佳君は、その「自学」に小3からハマり続けて10年、「自学ノート」はすでに27冊にも達した。中学までの取り組みを400字詰め原稿用紙50枚にまとめた「ぼくのあしあと 総集編」は「子どもノンフィクション文学賞」中学生の部大賞に輝いた。明日佳君を紹介するドキュメンタリー番組が作られた。NHKのBS1スペシャル「ボクの自学ノート~7年間の小さな大冒険~」は文化庁芸術祭で優秀賞を受賞し、地上波の「NHKスペシャル」でも放送された。再放送を含めて10回以上オンエアされているので、ご覧になった方も少なくないだろう。

27冊の「自学ノート」が並ぶ梅田さんの本棚 撮影/森清

とにもかくにも「自学ノート」の実際のページを、写真で見ていただくことにする。最初に紹介するのは、記念すべき1冊目の1ページめ。小学3年生の6月に書いたものだ。明日佳君の自学は、気になった新聞記事をノートに貼り、関連事項を調べたり感想を書いたりするというスタイルで、記事はすべて読売新聞から。家で読売新聞を購読しているからだ。

小学3年生。はじめての「自学ノート」。読売新聞の記事「ばち消えた」からすべてが始まった

記事の切り抜きをノートに貼り、「ばちがあたるぞー」と感想を書いた明日佳君は、続報が出るたびにその記事をノートに貼り、感想を書いた。

小学3年生。バチについての調査が続く。先生からのコメントは交換日記のようだ

新聞には自分にもわかることが載っていると知った明日佳君は、新聞が好きになった。